2003 Fiscal Year Annual Research Report
重元素合成過程における陽子捕獲反応断面積の系統的側定
Project/Area Number |
15740168
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
早川 岳人 特殊法人日本原子力研究所, 光量子科学研究センター・自由電子レーザー研究グループ, 副主任研究員 (70343944)
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Keywords | 原子核実験 / 原子核反応 / 天体核物理 / 元素合成 / 超新星爆発 / ガンマ線核分光 / 放射化法 / 陽子捕獲反応 |
Research Abstract |
太陽系の存在する鉄より重い重元素は、太陽系生成以前の恒星中で生成された。陽子過剰領域側に存在する安定同位体は、p核と呼ばれる。近年、p核の大部分は超新星爆発の光核反応で生成されたと考えられているが、陽子捕獲反応による生成も提案されている。天体環境の不明な未知の重元素合成過程を解明するために、筑波大学加速器センターのタンデム加速器を用いて4回の陽子照射実験を行った。試料として、ナチュラルのサマリウムとバリウムを用いた。バリウムは、炭酸バリウムの粉末をプレス機で厚さ2mmのアルミ製のフレームに押し固めることで作製した。照射ビームは、エネルギー5MeVと10MeVの陽子をそれぞれ、サマリウムと炭酸バリウムに対して用いた。実験は2つの方法で行った。一つ目が、長時間のビーム照射の後に、放射化した不安定同位体のベータ崩壊にともなって放出されるガンマ線を測定する方法である。ガンマ線をGe半導体検出器で測定した。Ge半導体検出器の検出効率は^<152>Euと^<133>Ba線源で行った。サマリウムに対して15時間の陽子照射を行った後に、試料を測定箇所に運搬し、鉛ブロックで十分に遮蔽した農境下でベータ崩壊によるガンマ線の測定を行った。この手法の利点は、試料に複数の安定同位体が含まれている場合でも、個々の反応断面積をガンマ線のエネルギーを識別することで行える点である。2つ目の方法は、パルスビーム法である。10分から1時間程度のサイクルのパルスビームを実験に用いるために整備を行った。時間間隔が長いので、ファラデーカップでパルスビームの制御を行った。陽子を15分から30分の一定時間照射し、照射終了後からベータ崩壊のガンマ線を計測する。一定時間の計測後に、統計を上げるために照射と測定を繰り返す。パルスビームの実用化の目処がつき、この実験手法で反応断面積の測定を今後行う。
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