2004 Fiscal Year Annual Research Report
スピン自由度をもつ量子ホール系の密度行列繰り込み群による研究
Project/Area Number |
15740177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 尚和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302385)
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Keywords | 量子ホール系 / スピン / 量子二次元系 / 強磁場 / 密度行列 / 繰り込み群 / 二次元電子系 / 基底状態 |
Research Abstract |
密度行列繰り込み群の方法をスピン自由度のある量子二次元系に適用する際、計算精度の確保の点で障害となっていた計算時間と使用メモリ容量の問題を解決する方法の開発と、精度の改善のために必要になる最適化された計算機環境の構築を行った。その結果、スピン自由度のない系で得られていた精度と同程度の精度をスピン自由度のある系においても得られるようになり、スピン自由度やそれと同等の自由度をもつ2層量子ホール系において精度の高い数値的研究が初めて可能になった。 特に計算時間については前年度に開発した従来の方法と比べて約1/5に短縮され、また必要なメモリ量も約1/10に削減することができた。その結果、自由度当たりの精度を大きく向上させることが可能になり、スピンが完全に偏極した状態を仮定した計算と比べて遜色の無い精度で、スピン自由度のある系の計算が実行できるようになった。 具体的な研究対象として、上向き、下向きの2つのスピン自由度を上下の層を指定する擬スピンの自由度に置き換えた2層量子ホール系を考え、2層間の距離を近づけることで生じる2層間のコヒーレンスの発達過程を計算した。そこで生じる占有率1における量子相転移の解析から、2層間の距離が磁気長程度のとき、量子ホール状態が安定化され、2層間の距離をそこから離すと、励起にギャップの無い状態に移行することが確認できた。
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Research Products
(1 results)