2003 Fiscal Year Annual Research Report
遍歴電子メタ磁性体におけるパルス強磁場ドハース・ファンアルフェン効果
Project/Area Number |
15740201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田村 裕幸 東京大学, 物性研究所, 助手 (60282604)
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Keywords | ドハース・ファンアルフェン効果 / デジタル位相検波 / パルス磁場 / キャパシタンス法磁歪測定 |
Research Abstract |
現状では最高磁場50T、パルス幅21msecの非破壊型パルス磁石と^4Heおよび^3He冷凍機の組み合わせで通常の磁化測定がすでに可能な状況である。今年度はこの磁石と非金属の試料空間を持つ希釈冷凍機とを組み合わせた測定を行えるようにした。 本研究の目的のドハース・ファンアルフェン効果の測定はまだ行っていないが、それに必要なパルス磁場中での高速(デジタル)位相検波技術はほぼ確立出来た。具体的にはレコーダ(デジタルオシロスコープ)のサンプリング(2MS/sec)のタイミングをPLL-VCO法を用いて変調波(デジタルファンクションジェネレータ;100kHz)と同期させ信号と参照波および磁場の全波形をとり込む。得られた信号はPC上で(参照波と同位相の)正弦・余弦関数と掛け合わされ振動周期のちょうど整数倍の幅の区間で数値積分する。この積分区間を移動させることにより全時間域での位相検波ができる。この方法の長所はたとえ積分区分が振動1周期分でも原理的に高調波がすべて自動的に落ちることである。 このようなフィルタの通過特性はアナログ法(電気回路)で作成するのはきわめて難しく、また測定パラメータが変わるたびに回路を作り替えなければならないが、デジタル法の場合は処理プログラムの修正だけで済むため性能および開発コスト・時間の面で有利である。更に数値処理部分はリアルタイム処理ではないので乗算処理の正弦・余弦関数に逓倍振動を用いれば1回の測定で複数の高調波成分も検波できる。これにより基準振動に対し複数の高調波成分を重ねた変調を加えて成分ごとに分離検波したり、あるいは非線形応答を任意の次数まで一括して検波することも可能になる。 今年度はこの方法でキャパシタンス法によるスピネル型スピン-フラストレーション系物質CdCr_2O_4の単結晶の磁歪の測定を行った。
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