2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花咲 徳亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70292761)
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Keywords | フタロシアニン / 巨大負磁気抵抗 / 分子磁石 / スピン散乱 / 分子軌道縮退 / 分子軌道角運動量 / Fe(Pc)(CN)_2 |
Research Abstract |
本研究はフタロシアニン分子系伝導体をはじめとして、スピン散乱に由来する特異な巨大負磁気抵抗のメカニズムを明らかにすることを目的としている。フタロシアニン分子系伝導体における磁気抵抗の磁場角度依存性の詳細な測定から、巨大負磁気抵抗がFe(Pc)(CN)_2分子の対称性と強く相関することを明らかにした。この異方性は結晶系に依存しない。巨大負磁気抵抗の原因として、分子内の伝導電子・局在スピンとの相互作用も考えられるが、巨大負磁気抵抗は、マンガン系で報告されているように磁化に対してスケールされるわけではなく、低温で異常な増大を示す。低温で局在スピンが反強磁性転移を起こすことから、反強磁性転移との相関を調べた。そして、反強磁性揺らぎに起因して磁化がキューリー則からずれる磁化成分が負磁気抵抗とスケールできることを実験的に明らかにした。これは、巨大負磁気抵抗が低温における反強磁性揺らぎに由来していることを示唆している。 パイロクロア型モリブデン酸化物は幾何学的フラストレーションと電子相関の相関効果が期待できる興味深い物質系である。本研究を通じて、幾何学的フラストレーションに由来する巨大な負磁気抵抗をGd_2Mo_2O_7において発見した。また、この巨大磁気抵抗効果を利用して、金属絶縁体転移を高圧(10GPa)・強磁場(8T)・低温(200mK)において磁場で制御することに成功した。この金属絶縁体転移は電子相関と、幾何学的フラストレーションにより誘起された乱れが競合するモット・アンダーソン転移である。転移の制御パラメータとして磁場を用いて、金属絶縁体転移の臨界指数が1.04+-0.1であることを明らかにした。この臨界指数は、従来のアンダーソン転移(1.3-1.6)や電子相関のモット転移(0.3-0.5)の値の中間的なものであった。
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Research Products
(2 results)