2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低温・高圧力下中性子散乱法の開発とf電子系の磁性と超伝導の相関の研究
Project/Area Number |
15740206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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Keywords | 強相関電子系 / ウラン化合物 / 5f電子系 / 超伝導 / 磁性 / UGe2 / 中性子錯乱 / 多重極限 |
Research Abstract |
UGe_2は圧力下で超伝導と強磁性が共存する。反強磁性の場合と異なり、内部磁場が超伝導コヒーレンス長程度のスケールでキャンセルされることはない。強磁性と超伝導が如何に住み分けているかを明らかにし、さらに反強磁性と共存するUPd_2Al_3等と比較検討を行うことは、強磁性と超伝導の相関を明らかにする上で大きな意義を持っている。そこで、高圧力下と希釈冷凍機を組み合わせた中性子散乱研究法を開発した上で、UGe_2における超伝導の発現機構に関する知見を得るために、強磁性と超伝導の共存が空間的に不均一であるか否かについて実験的に決着をつけることと、理論との比較のため、強磁性相の相境界線(1次転移か2次転移か?)を明らかにすることを目的として研究を進めた。本年度の具体的な研究実績は以下の通りである。 (1)研究協力関係にある名古屋大学理学研究科の佐藤憲昭助教授のグループと協力し、UGe_2の純良単結晶を育成した。 (2)希釈冷凍機用の小型(外形14mm程度)の最高到達圧力2GPa程度の銅ベリリウム製汎用型の圧力セルを物性研上床美也助教授と協力して作成した。(当初、よりSNのよい中性子に対して透過し易いアルミニウム系合金を用いる計画であったが、なかなか2GPaを到達するアルミニウム系合金の探索には至っていない。) (3)UGe_2における強磁性と超伝導の共存が空間的に不均一であるか否かについて実験的決着をつけるために、高圧下(〜1.6GPa)における中性子散乱を希釈冷凍機温度域で行った結果、現時点では、強磁性相、及び内包するTx相、超伝導相において、強磁性ブラッグピークに相関長などに顕著な変化は見られていない。測定した圧力点数がまだ限られるため、より多くの圧力での測定が望まれる。 以上。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 目時, 阿曽ら: "Higher-order collinear interaction and magnetic excitation in the 5f localized system U_3Pd_<20>Si_6"Journal of Physics : Condensed Matter. 15・28. S1957-S1963 (2003)
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[Publications] 安井, 阿曽ら: "Ferromagnetic Transition of Pyrochlore Compound Yb_2Ti_2O_7"Journal of the Physical Society of Japan. 72・11. 3014-3015 (2003)
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[Publications] 小池, 阿曽ら: "Neutron Scattering Study on Magnetic Order and Magnetic excitations of a Localized Uranium Compound U_3Pd_<20>Si_6"Acta Physica Polonica B. 34・22. 1121-1124 (2003)
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[Publications] Steglich, 阿曽ら: "Recent trends in heavy-fermion physics"Physica B. 329-333. 441-445 (2003)
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[Publications] 石田, 阿曽ら: "Al Knight-shift measurement in the superconducting state of UNi_2Al_3"Physica C. 388-389. 535-536 (2003)