2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低温・高圧力下中性子散乱法の開発とf電子系の磁性と超伝導の相関の研究
Project/Area Number |
15740206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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Keywords | 強相関電子系 / ウラン化合物 / 磁性 / 超伝導 / 圧力 / UGe2 / 中性子散乱 / 極低温 |
Research Abstract |
UGe_2は圧力下で超伝導と強磁性が共存する。得に、強磁性相に内包する形で所謂T_x(P_x)と呼ばれるもうひとつの特性温度が存在する。P_xを中心とする圧力範囲で超伝導が生ずることから、T_xの理解によって超伝導に関する知見を得られるものと考えられる。そこで、高圧力下と希釈冷凍機を組み合わせた極端条件下中性子散乱研究によって、UGe_2における超伝導の発現機構に関する知見を得ることを目的とする。 本年度の具体的な研究実績は以下の通りである。 (1)UGe_2の強磁性ブラッグピークの温度依存性の精密に測定した。これらの圧力依存性より、温度-圧力測定相図を決定できた。Huxleyらが以前報告していたように、強磁性相の相境界線が絶対零度付近で1次転移であることを支持する結果となった。 (2)また、強磁性ブラッグピークの温度依存性を幾つかのモデルによる解析を試みた。その中でも、ストーナーモデルによる解析が、実験との一致がよい結果となった。ストーナーモデルによる解析によると、T_x(P_x)以下の領域では、有限のエネルギーをもつストーナーギャップをもつ完全強磁性体であり、重い準粒子バンド完全に偏極した状態であるとの結論を得た。T_x(P_x)以上の領域では、二通りの解釈を試みている。T_x(P_x)以下のストーナーギャップが壊れてゼロになり重い準粒子バンドが常時性を示す可能性と、より大きなストーナーギャップをもつ状態なのか、どちらであるかはまだ結論できていない。(1)(2)の結果は現在投稿中である。 (3)超伝導の発現機構として、CDWとSDWが結合したモデルが提唱されており、T_x(P_x)以下の領域でCDWがたつとされている。このため、この超格子反射をとられるため、初めて圧力下での放射光X線回折実験を行ったが、特に新たな反射は見つけられなかった。 以上。
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Research Products
(4 results)