2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740221
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 博生 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00343418)
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Keywords | 金属強磁性 / ハバード模型 / 厳密対角化 / 部分強磁性 / 局所スピンモーメント |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属強磁性の出現メカニズムの解明につながる知見を大規模数値シミュレーションによって得ることである。そのため、我々は次近接ホッピングを持つ1次元ハバード模型を少数系クラスターの厳密対角化法によって調べている。ハバード模型は金属強磁性を記述しうる最も簡単な模型の一つとして良く知られている模型である。しかしながら、この系で近似を用いずに電子間相互作用を取り扱うことが大変難しいことも同時に良く知られている。そのような電子相関を直接シミュレーションで丸ごと取り込むことによって、我々はハバード模型の1次元系が次近接ホッピングを持つ場合に、ハーフフィリング近傍の金属相で部分スピン偏極状態が絶対零度で実現していることを明らかにした。大規模数値シミュレーションであっても取り扱える系の大きさは限られているが、部分スピン偏極状態の出現は系の様々なサイズで同様に出現していることを明らかにできた。このことは、十分大きな系でも部分スピン偏極相が存在していることを示している明瞭な証左となっている。また、そのような部分スピン偏極基底状態が現れている場合に、局所スピンモーメントの温度依存性を調べた。この物理量はスピン揺らぎの理論の中で重要な役割を果たしているもので、我々の計算は、無秩序相の高温から部分強磁性秩序相の低温までの温度領域において近似を用いずに行ったものとして初めてのものとなった。その結果、局所スピンモーメントは両方の相を跨ぐ温度領域で弱い温度依存性となっていることが分かった。この振舞いは、弱強磁性体に対するスピン揺らぎの理論の中で仮定として導入されているもので、その仮定の正当性を強く支持する成果となった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroki Nakano: "Partial Ferromagnetism in the Hubbard Chain with Next-Nearest-Neighbor Hopping"Journal of the Physical Society of Japan. 72. 1191-1196 (2003)
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[Publications] Hiroki Nakano: "Partially ferromagnetic ground state in the one-dimensional Hubbard model with next-nearest-neighbor hopping"Journal of Magnetism and Magnetic Materials. (発表予定).