2003 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト硫化物における高圧下及び元素置換による構造変化と磁気転移に関する研究
Project/Area Number |
15740225
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
町田 晃彦 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・極限環境物性研究グループ, 研究員 (70354983)
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Keywords | コバルト硫化物 / パイライト型構造 / 強磁性転移 / 放射光粉末X線回析 / リートベルト解析 |
Research Abstract |
パイライト型コバルト硫化物CoS_2は強磁性転移温度T_c〜120Kの遍歴電子強磁性体である。このCoS_2は硫黄(S)サイトをセレン(Se)で置換、又は圧力を印加することによりT_cが減少し、さらに磁気転移が二次転移から一次転移へと変化することが知られている。本研究ではCoS_2の磁気転移と格子構造との相関を明らかにするために、放射光粉末X線回折実験を行い構造パラメーターの温度変化を詳細に調べた。以下に得られた結果を示す。 1.放射光実験、粉末試料作製・評価 放射光粉末X線回折実験はSPring-8のBL02B2に設置された大型デバイ・シェラー・カメラを用いて行った。低温実験には窒素ガス吹き付け装置を使用した。温度分布領域は96Kから300Kである。試料は単結晶を細かく擂りつぶしたものを使用した。均一な強度分布を持つデバイリングを得るために作製条件を変えた粉末試料をいくつか用意し、最適なものを選択した。その結果、約20分間空気中で擂りつぶした試料のデバイリングが最も均一な強度分布を持ち、また一次元化した粉末回折パターンにおいて回折線幅の広がりは見られなかった。 2.結果 得られた回折パターンに対してRIETAN-2000プログラムを用いてリートベルト解析を行い、構造パラメーターの温度変化を調べた。温度低下に伴い格子定数は減少していくが、T_c近傍において異常は観測されなかった。さらに原子間距離を調べたところ、Co-S間距離では同様に異常は観測されなからたが、S-S間距離は温度低下に伴いT_c近傍で僅かに減少することがわかった。この結果はこの系の強磁性転移はS-Sダイマーの大きさと関係があるということを示唆している。 3.装置整備 SPring-8の原研専用ビームラインBL22XUにおいて低温高圧下による放射光粉末X線回折案験を行うための装置整備を行った。
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