2003 Fiscal Year Annual Research Report
混合戦略と突然変異を導入した大自由度レプリケータ系の多様性と安定性の研究
Project/Area Number |
15740233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 康 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50345104)
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Keywords | 非線形力学系 / ゲーム力学系 / レプリケータ系 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生態系の多様性と安定性が進化的にいかに獲得されて来たかをゲーム理論を用いて解明することである。この問題は、生態系の「多様性のパラドックス」と呼ばれ、1970年代以来、生態系研究の重要なテーマとなっている。 本研究では、種間・個体間の競争をゲームとして捉え、種の違いや個体の違いをゲームにおける戦略の差として表現する。戦略として混合戦略も含めることによって「種空間」を点ではなく、確率的な戦略空間全体に広げることが特徴である。 本年度においては、本研究の基盤作りとして、プレイヤーが同時に複数のゲームを行った場合のダイナミクスについて研究した。生態系における競争をゲームとして捉える際、それは単一のゲームと考えるより、複数のゲームを同時に行っていると考えた方が、より現実的であるからである。例えば、生殖相手の獲得、餌の獲得、縄張りの争いなどを全体で一つのゲームとして捉えるよりも全く別のゲームを同時に行っていると考えるべきであろう。 結果として、プレイヤーが同時に複数のゲームを行った場合、それぞれのゲームにおける戦略の頻度の振る舞いが、それぞれのゲームを単独で行った場合と全く異なる振る舞いを見せることがあることを発見した。今まで、進化ゲーム理論ではほとんどの研究が単独のゲームを対象に研究してきたが、これはプレーヤーが同時に他のゲームをやっていても注目するゲームの戦略の頻度には影響しないことを暗に前提としているが、本研究で、それは一般には誤りでそれぞれのゲームの戦略の頻度が影響してしまうことがあり得ることが示された。 この成果についての発表は来年度に行う予定である。
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