2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元非圧縮非粘性流体方程式の解の有限時間爆発についての数値的研究
Project/Area Number |
15740237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20346076)
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Keywords | 3次元オイラー方程式 / 解の爆発 / 乱流 / スペクトル法 / 複素特異性 / 多変数複素関数論 / 自然境界 |
Research Abstract |
本年度は3次元非圧縮オイラー方程式のスペクトル法をもちいた大規模数値計算のプログラムコード開発から着手した。大規模計算は並列化が比較的容易である共有メモリー型の大型計算機を使うことに決定した。その際、以下の2点に留意して開発を行った(1)大型計算機がベクトル機であるので、ベクトル効率を高める(2)使用計算機に最適化された並列使用の数値計算ライブラリを存分に用いる。このプログラムコードを用いて、幾つかの初期条件について計算を行い、適当な時間間隔で流れ場を保存した。これらの場を複素空間に解析接続して得られる複素流れ場がもつ複素特異性の解析を現在進めている。特に2次元場の解析を通して我々が開発した解析球(円)の包絡面から解の自然境界を得る方法(method of analyticity disks)による場の正則域の解析から興味深い結果が得られている。しかしながら3次元場の可視化については工夫の余地があると思われる。またオイラー座標だけでなく、ラグランジュ座標で複素特異性を調査するために準ラグランジュ法をあわせて実装する計画を今年度にたてた。しかし、オイラー座標での計算と同時の実装はメモリー使用量が増加するため、高空間解像度での計算はまだ行っていない。さらに省メモリーな方法を工夫する必要がある。同様のラグランジュ解析は保存した場(オイラー座標の場)のスナップショットの幾つかについてラグランジュ写像を数値的に解くことで行うことが可能である。その結果、オイラー座標と同様にラグランジュ座標にも複素特異性が存在することが示唆された。その詳しい性質については現在解析中である。
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