2004 Fiscal Year Annual Research Report
相互作用のある多重軌道ランダム格子模型の染色的構成と基底状態の指数定理
Project/Area Number |
15740245
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 雅則 日本大学, 理工学部, 講師 (20307698)
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Keywords | 軌道 / ランダム格子模型 / 四色定理 / 構造相転移 / 結晶学 / ハバード模型 |
Research Abstract |
平成15年度に構成を行った電子模型群以外に、新たなクラスの可解模型群を提案し、基底状態の厳密な構成を行った。平成15年度に構成を行った模型群は軌道(電子の内部自由度)の数の上昇と共に、相互作用の多重度が上がるため模型の現実性が低い。一方で今年度構成を行った模型群は、フェルミ粒子の相互作用を高々4体までしか含まず、相互作用の形もハバード型であり現実的である。さらに、基底状態の一意性の証明も可能であり、物理的に有用な性質を兼ね備えている。この模型群の構成可能条件を最大限に解析した。 これら一連の模型群に共通の特徴の一つとして位相的構造相転移という新たな相転移を提案しているが、この現象を別の観点から解析を行った。つまり、位相的組み合せ理論を用いた結晶学の再構成である。結晶学は、古くから固体物理学における固体の分類方法として定着しているが、この分類方法は点群による対称性の分類と同義である。また最近では、準周期系に代表されるように点群による記述の拡張や一般化がなされてきている。本研究では結晶格子の2次元多様体への既約埋め込みを行い、その多様体の位相幾何学的性質により結晶格子の分類を行うという手法を提案した。今後は、埋め込んだ多様体上で有限群の作用により更に分類を行うという考察が可能である。 実際の位相的構造相転移を伴う物理系を提案するためには、軌道の相互関係により電子の運動積分のネットワークがスイッチングを行う模型を具体的に構成する必要があるが、二次元面と一次元ストライプ状構造の2種間の転移という自明な模型以外の非自明な模型の構成は現状では困難であることが分かった。 有限グラフによる具体的な格子を仮定し、埋め込み、染色定理などの適用を試みることで、基底状態の指数定理を導出することができた。しかし、グラフのサイズの上昇と共にこれらの手法の具体的な適用は指数関数的に困難となることが判明した。このため熱力学的極限などの操作を行うためには、無限グラフに関する考察が必要であることが結論された。
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