2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740248
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
三浦 靖一郎 独立行政法人国立高等学校機構福島工業高等専門学校, 電気工学科, 助手 (00353235)
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Keywords | 希土類ガーネット薄膜 / 磁区構造 / パターン発展 / 緩和現象 / 二次元イジング・モデル |
Research Abstract |
磁性体薄膜の磁区は,その全磁気エネルギーが最小となるように形成するため,通常は多磁区構造をとる.このように多磁区構造をとるため,薄膜の個々の磁区は外部印加磁場や温度などにより多様なパターンを見られる.通常,ゼロ磁場下では迷路状であり,残留磁化がない場合,上向き磁区と下向き磁区の割合は等しい.このような磁性薄膜に外部静磁場を加え飽和させた後,それを急速に取り除くと,極めて複雑な迷路状磁区構造が現れる.その後,微少な交番磁場加えることによる磁区構造の変化過程を更に調べた. 実験には,ビスマス置換型ガーネット薄膜(組成:(Ho_<1.2>Tb_<0.6>Bi_<1.2>)Fe_5O_<12>,大きさ:4[mm^2],厚さ:20[μm])の単結晶平板を用いた.その飽和磁場は約450[Oe]である. この過程を定量的な視点で議論するために,磁区構造にみられる三つ又状の分岐点と分岐点の先に存在する磁区の先端について着目する.これらは磁区構造における特異点である. これまでの報告より,定性的な観察及び定量的な解析から,複雑な磁区構造は,外部磁場の印加回数と共に徐々に和らいでいく磁区構造の緩和現象と,磁区構造と特異点との関連を調べた,この際の特異点数の変化はベキの法則に従って減少すること,また,磁区構造パターンから導出した相関長と特異点の分布関数や数密度相関関数から,磁区構造の変化と特異点の変化との間に関連があることを報告した. 次に,先に述べた結果と,磁性薄膜試料の磁気的特性としてVSM装置を用いて巨視的なM-H曲線を測定した結果との比較を行なった.印加磁場の振幅が小さく磁化曲線の変化が小さい領域では,磁区構造パターンの緩和は,磁場の印加回数に対してほぼ一定であり,印加磁場の振幅が大きく磁化曲線の変化が大きい領域では,そのパターンの緩和は途中で変化している.磁区構造パターンの緩和過程は,印加する交番磁場の振幅と,M-H曲線における磁化曲線の形状との間に関係がある可能性があることがわかった.
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Research Products
(1 results)