2004 Fiscal Year Annual Research Report
極低温放射線検出器とX線光学系による多価イオンX線の高収量高分解能分光
Project/Area Number |
15740257
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 時浩 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 研究員 (80301745)
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Keywords | 極低温検出器 / 多価イオン / X線分光 / 実験技術 / STJ / X線レンズ / マイクロキャピラリー / 中空イオン |
Research Abstract |
本研究は、極低温放射線検出器(STJ)とX線光学系(X線レンズ)を使って高エネルギー分解能でかつ高収量の原子物理実験を行うことを目的としている。最終年度の研究内容は以下のとおりである。 1.昨年度の成果を日本物理学会第59回年次大会(九州大学)にて発表した。 2.多価イオンからのX線を測定する実験に先駆けて、電子線ビームをステンレスターゲットに当てることで発生するX線を用いて較正と測量を行った。電子銃のレンズにより電子銃のスポット、すなわちX線源の強さや大きさ、位置を変化させることができる。スポットは蛍光板により目視できるため、実際の多価イオンビームを使った実験の前にも必ずこの電子銃による較正を行うこととした。また、STJの冷却温度(0.3K)の維持時間が有限であり、測量をできる限り短時間で行う必要があるため、X線源-X線レンズ-STJを短時間で一直線に並べるためのレーザー測量セットも作製した。さらに、懸案でもあったX線源側の真空(10^<-8>Torr以下)とクライオスタットの断熱真空(10^<-6>Torr程度)をフィルターで仕切るための装置を考案した。 3.多価イオンビーム(ネオン9価または酸素7価、ビームエネルギーは10keV/q前後)を、まずステンレス板のターゲットに当て、X線(500〜900eV)を発生させてSTJで測定した。既存のグレーティング分光器のデータとも一致していることを確認した。この段階では時間短縮のためノイズ低減操作は省き、エネルギー分解能は約20eVで使用した。 4.現在(2月末)、ネオン9価の中空イオンのX線を測定し1電子系、2電子系および3電子系の配位を決定するための実験を行っている。各電子状態の寿命を決定するためにはビーム軸方向にクライオスタットを走査していくが主に位置の再現性を確立するための調整を行っている。
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