2004 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性分子の自己組織化の大規模コンピュータシミュレーション
Project/Area Number |
15740262
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (30280598)
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Keywords | 両親媒性分子 / 分子動力学シミュレーション / 自己組織化 / 粗視化モデル / 円筒状ミセル / 平面二分子層 |
Research Abstract |
両親媒性分子の自己組織化機構を分子レベルで解明するため、我々は溶媒分子(水分子)と溶質分子(両親媒性分子)を共に粒子として顕わに扱う分子動力学(MD)シミュレーションを行った。シミュレーションモデルとして、以下の粗視化モデルを用いた。両親媒性分子は1つの親水性粒子と2つの疎水性粒子からなり、直線状に等間隔に並んだ剛体棒であるとした。溶媒分子は1つの親水性粒子でモデル化した。親水性粒子と疎水性粒子の間の相互作用は、ソフトコア・ポテンシャルで表し、親水性粒子同士及び疎水性粒子同士の間の相互作用は、レナード-ジョーンズ・ポテンシャルで表した。MDシミュレーションのアルゴリズムとして、かえる跳び法を用いた。アンサンブルとしてNVTアンサンブルを用い、系の温度を一定に保つため速度スケーリング法を適用した。シミュレーションの時間刻みはΔt^*=0.0025とし、相互作用ポテンシャルのカットオフ距離はr_c^*=3.0とした。また、周期境界条件を用いた。ここでは、全粒子数を5832とし、両親媒性分子濃度c_sをc_s=0.05とした。最初に、高温(T^*=10.0)においてランダムな両親媒性溶液を準備し、その後、T^*=1.3において急冷を行い、ミセル形成過程の解析を行った。様々な数密度(ρ^*=0.6〜0.85)で形成されるミセルの構造を解析した結果、以下の結果が得られた。(1)低密度では、ミセルの合体・分裂が繰り返される。(2)密度が増加すると、ミセル形状が円筒状から平面二分子層に変化する。(3)高密度では、ポテンシャルエネルギーが段階的に減少し、ミセルの慣性半径の隆起が見られる。(4)親水性斥力が大きくなると、ミセルの大きさが小さくなり、平面二分子層から円筒状ミセルに変化する。
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Research Products
(2 results)