2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダム磁気効果をもとにして応力磁気効果のフィールド実験
Project/Area Number |
15740267
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
坂中 伸也 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (20323131)
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Keywords | ピエゾ磁気効果 / 応力磁気効果 / ダム磁気効果 / 地磁気永年変化 / 地殻応力 / 地殻変動 / 揚水式ダム / オーバーハウザープロトン磁力計 |
Research Abstract |
平成15年度はダム磁気効果を検出するための揚水式ダムの選定をまず行う予定であった。しかし,フィールド実験を行うための第一候補であり,国内最大級の揚水式ダムになる予定であった宮崎県の小丸川ダムは建設が遅れ,研究計画の変更を余儀なくされている。現状では,いくつかの揚水式ダムを選定し,目下電力会社と測定の許可を得るために交渉中である。 揚水式ダムでの実際の測定を始めるのに難航しているが,研究目的を達成するための基礎研究を行った。今年度支給された科学研究費でオーバーハウザープロトン磁力計を購入し,秋田焼山の山頂火口湖周辺の12点で平成15年6月から10月にかけて繰り返し磁場測定を行った。秋田焼山での測定の本来の目的は火山活動のモニタリングであるが,地磁気の季節による変化及び太陽活動による日変化を除去し,火山活動や地殻変動に関連するシグナルを抽出するという意味では,本研究と一部共通する部分がある。プラスチック製の杭を用い,数mmの精度で毎回同じ位置で繰り返し測定を行った。国土地理院水沢観測所の地磁気データを用い,単純差法で磁場変動を補正した。処理結果によれば,火山活動による磁場変化に加え,季節による年周変動も無視できないほど大きいことが判明した。これは,Utada et al.(1999)でも指摘されているように,測定点周辺のごく近傍の岩石の磁化が温度変化に伴って変化するのが原因らしい。この季節変化は火山活動や地殻活動が静穏な場所でも十分に起こりうる現象である。 ダムの水位変化に伴うピエゾ磁気効果(応力磁気効果)のシグナルはごく小さいことが予想される。今年度に行った地磁気測定からも十分に想像できるように,温度による地磁気変化は無視することができないであろう。ダム磁気効果を検出するにあたり,秋田焼山で行っているような繰り返し磁場測定をも併用する計画であった。繰り返し磁気測定は少数の測定機材で多くの観測点で測定できる利点があるが,変化を検出するためにはそれなりの日数が必要である。測定期間が長くなれば,季節変化が無視できなくなる可能性があるため,ダム磁気効果検出は1〜2週間の短期間で結果が出る方法を採用する方がよい。そこで,計画を若干変更し,予定よりも多くの揚水式ダムを選定し,それぞれ2週間程度,プロトン磁力計を一度に4〜5台投入して連続観測を行う予定にしている。
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