2004 Fiscal Year Annual Research Report
固液共存系における地震波減衰の定量的評価のための実験的・理論的研究
Project/Area Number |
15740271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武井 康子 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30323653)
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Keywords | 固液複合系 / 速度分散 / 減衰 / Q / squirt / 地震波 |
Research Abstract |
超音波を用いて、100kHz-1MHzの帯域における(位相)速度分散と減衰を測定する手法を確立した。昨年度の焼結金属に流体を満たした試料に続いて、アナログ部分溶融試料の速度分散と減衰を縦波横波の両方について測定した。100kHzでQ^-1〜0.1,という大きな減衰を得た.ぬれ角が小さいほど大きな減衰を示した.QR,QS比は1前後で,体積弾性成分の減衰の寄与が大きいことを示唆した.大きな減衰が生じた周波数帯域は,液相分率が2%の試料では100kHz-400kHzに限られており,減衰帯域の上限がとらえられた.部分溶融試料の大きな減衰は、Biotメカニズムやsquirt flowメカニズムでは説明できず、固相内の緩和の関与が示唆された。 10mHz-1kHzの帯域での弾性・非弾性特性を測定できる、本研究独自の強制振動実験装置を設計、製作した.せん断成分の変形に関しては,1mHz-10Hzでのねじり型強制振動実験が行われてきた。本研究で開発した装置は縦振動を加えることができ、体積弾性成分の変形を含む振動実験を行なうことができる。歪振幅は10^<-5>程度であり、クラックの開口や非線形性が生じない. 地震波の減衰を生じる固相の緩和現象の候補として、多結晶体の粒界すべりを取り扱う新しい理論的フレームワークを構築した.メルトの存在する系も取り扱うことができる.理論的予測として,粒界すべりは主に横波の減衰を生じるものであることが分かった. 地震波トモグラフィーから求まった縦波と横波の速度構造、及び縦波の減衰構造を用いて、東北日本下のマントルウエッジの温度構造、メルト分布、ポア形状分布を求めるインバージョンを共同で行なった.深さによりポア形状が異なる様子を捕らえることに成功した.成果は論文公表した。
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Research Products
(1 results)