2004 Fiscal Year Annual Research Report
固化実験と超音波測定による部分溶融体の構造と形成の研究
Project/Area Number |
15740272
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
隅田 育郎 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (90334747)
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Keywords | 部分溶融体 / 超音波速度 / 減衰 / 樹枝状結晶 / 散乱 |
Research Abstract |
本年度は、内核外核境界のアナログとして、樹枝状結晶の中を伝播する弾性波速度と減衰(Q値)の周波数依存性の測定とその解釈を行った。 音波物性の周波数依存性を測定するためには、ある特定の周波数にパワーを持つバースト波を用いて、その周波数変調を行うことが有用である。まず、そのような測定を自動的に行うために、パルスジェネレータをコンピュータ制御するプログラムを作成した。次に25重量パーセントの塩化アンモニウム水溶液の固化が進行している下でこの測定を行い、音波の減衰の周波数依存性を求めた。その結果、固化が進行するにつれて、伝播速度が速くなり、減衰が増大することが分かった。速度分散は見られなかった。減衰は、超音波の波長と同程度のスケールで顕著になり、高周波数程Q値が大きいという周波数依存性が見られ、その原因として散乱が考えられる。そこで、散乱による減衰の効果を定量化するために、非反応系で、粒径のサイズおよびその体積分率を変えた時の減衰の周波数依存性を調べた。粒径依存性を調べるためには、粒径の異なるガラスビーズを体積分率60パーセントを含む粘性流体の混合物を用いた。体積分率依存性を調べるために、粒径が一定で、異なる体積分率を持つポリスチレンビーズと粘性流体の混合物を用いた。その結果、固化実験と同様に、波長と粒径が同程度で減衰が顕著になることが分かった。また、減衰には類似した周波数依存性があり、その冪は粒径に強く依存し、体積分率にはあまり依存しないことが分かった。 これらのことから、固化実験中の部分溶融体中を伝播する超音波の減衰は、主として散乱が関与しており、固化が進行するにつれて、結晶サイズがあまり変わらずに固化分率が増加していることが主な原因であると推定された。以上の実験結果から、内核外核境界付近を伝播してくる地震波の速度から固体の割合を、減衰の周波数依存性から特徴的なスケールをマッピングできる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)