2004 Fiscal Year Annual Research Report
震源核形成にともなうプレスリップの検出 (ひずみ場のマッピング)
Project/Area Number |
15740275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川方 裕則 京都大学, 防災研究所, 助手 (80346056)
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Keywords | プレスリップ / 震源核成長過程 / ひずみ局所化 / 非弾性剪断変形 |
Research Abstract |
地殻内部で発生する地震現象には震源核形成過程が先行し,震源核成長過程にはプレスリップを伴うことが提唱され,地震予知の可能性はこの検出にすべてが託されているといっても過言ではない.プレスリップをコントロールする要因を明らかにし,その発現形態が断層面の一部にとどまるのか,同時に複数の領域で成長するのか,断層面全体にわたって現れるのか,について調べることは重要である.本研究では,既存断層面をもつ岩石試料表面におけるひずみ場をマッピングする.そしてひずみ記録に前兆的変動(プレスリップに伴う歪み)が検出できるか否かを調べ,検出できるとすればその発現パターンを調べることを目的として実施された.また,震源核で発生するAEの特徴を探り,震源核成長過程の理解も同時に目指すこととした. Westerly花崗岩試料を用いて,常温・封圧下(100MPa)で三軸圧縮試験を実施し,試料表面および内部の一部に既存断層を形成させた.得られた試料に対して,X線CTスキャナを使用して断層面の内部構造の非破壊検査を実施した.その後,試料表面に3成分ひずみゲージおよびAEセンサを配置させ,再度同一条件下にて三軸圧縮試験を実施した. その結果,断層面成長・すべり過程におけるひずみ変化に関して次のようなシナリオを得た. 1)断層端付近でのみ断層の非弾性剪断変形による接線ひずみの局所化,ひずみ主軸の回転が生じる. 2)断層端が通過した後,さらに非弾性ひずみが蓄積することにより,相対変位が生じる. 3)ひずみの局所化を経験した領域は,再び載荷されても,充分に固着していなければ局所化は起こさない. また,震源核近傍で発生するAEの波形は,レーザードップラー速度計による簡易較正の結果,インタクト(無垢)領域で発生するAEに比べ,やや長周期が卓越する可能性が示された.この結果は,広帯域AEセンサ等を利用してさらに詳細を調べる必要がある.
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