2005 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な形状の既存断層系で発生する地震の破壊経路の理論的予測
Project/Area Number |
15740277
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
亀 伸樹 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (90304724)
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Keywords | 地震 / 破壊 / 断層 / 有限要素法 / 予測 / 境界積分方程式法 |
Research Abstract |
地震の破壊経路の理論的予測を行う数値シミュレーションには、従来、境界積分方程式法が用いられてきた。この手法は、「断層面形状」の自由度が高いという特性から広く利用されるようになってきたが、反面、「不均質媒質」中の破壊現象の取り扱いは不得手である。 地殻には不均質構造が普遍的にある(例:地下浅部堆積層と深部基盤岩の境界)。不均質境界に向かう破壊成長は、媒質の弾性定数の不連続分布の力学的効果により破壊経路が変化する可能性が考えられる。そこで本年度、「不均質媒質中」の「破壊経路が自己選択しうる計算法」を新たに開発した。 定式化には有限要素法を用い、2次元せん断(モードII)破壊問題を考える。有限要素法は、不均質性の導入は容易であるが、要素内の変位補間関数の連続性により隣接節点間の変位の不連続(=破壊)の表現は不得手であり、「破壊経路自己選択法」の実現の障害となる。この解決のため、欠損を含む工学材料の引張破壊(モードI)解析に対して最近新しく提唱された「粒子的変位場による離散化法(FEM-β, Hori et al., 2005)」を適用した。引張破壊と異なり、地震のせん断破壊では法線ひずみを保ちつつせん断ひずみ成分が解放される。この特有の境界条件をFEM-βにおいて満足さすことによりモードIIのせん断破壊による生じる静的応力場・ひずみ場解析を行った。 層構造媒質内に、層境界と直行する向きに断層破壊面が存在する状況を考える。この場合、応力に関しては不連続をまたぎ連続的な分布になるのに対し、ひずみに関しては構造境界に沿って不連続を含む分布になることがわかった。また破壊先端が境界に近い程、境界付近でのひずみ不連続性は大きくなる。この解析より、もし破壊基準が応力だけでなくひずみ依存性をも含む場合には、断層面延長方向と異なる方向の境界に沿う破壊経路が新たに選択される可能性が示唆される。
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Research Products
(2 results)