2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740283
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小高 正嗣 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60344462)
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Keywords | 火星大気 / 鉛直対流 / 湿潤対流 / 数値モデル開発 / 非静力学モデル |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引続き,大気の主成分が凝結する場合の対流(湿潤対流)を考慮したモデル基礎方程式の検討を行い,その方程式系に基づく2次元数値モデルの開発を行った.開発したモデルを用いて主成分凝結をともなうサーマルの計算を行い,基本場が湿潤断熱的な大気構造を持つ場合のサーマルにともなう鉛直運動の様子を調べた. 基礎方程式を検討する出発点として,準圧縮系方程式を選択した.準圧縮系では線形化された連続の式が用いられているため,大気主成分の凝結にともなう密度変化を考慮しつつ,計算手法を工夫することで数値積分を行う際の計算コストを抑えることが期待できる.そのような見通しの下で,連続の式に主成分凝結にともなう密度変化項を加えた準圧縮系方程式の定式化を行い,さらにその定式化を火星の湿潤対流のモデル方程式として用いるためには凝結の時間スケールが音速で決まる時間スケールに比べ長いことが必要であることを導いた.実際に,拡散成長する雲粒の成長方程式に基づく凝結モデルを用いて現在の火星の平均的な大気条件を与えて凝結の時間スケールを調べたところ,初期の飽和比が1程度の場合には準圧縮の条件をおおむね満たされることを確認した. 以上の定式化の検討の後,大気主成分凝結を考慮した2次元対流数値モデルの開発を行った.プログラムの構造は昨年度開発した乾燥大気対流計算用のモジュールを参考にし,プログラム書法をdcmodelコーディングルール(地球流体電脳倶楽部dcmodelプロジェクト,2005:http://www.gfd-dennou.org/library/dcmodel/)に準拠させることで,ソースコードの可読性と可変性の向上に努めた.この数値モデルを用いて基本場がほぼ湿潤断熱的な大気構造を持つ場合のサーマルの計算を行い,凝結が生じるとサーマルにともなう鉛直運動は抑制されること示した. 開発した数値もモデルと関連文書はhttp://www.gfd-dennou.org/arch/deepconv/以下に公開している.本研究終了後は上記数値モデルに大気放射モデルを導入し,大気主成分の凝結を考慮した火星大気放射対流の数値計算を行う予定である.
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