2004 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋東西亜寒帯循環の繋がりと深層水湧昇域の空間分布解析
Project/Area Number |
15740285
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 広二 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (80241371)
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Keywords | 亜寒帯循環 / アラスカンストリーム / 深層水湧昇 |
Research Abstract |
本年度は研究期間の2年目あたり、昨年度導入した観測機器を利用した夏期の観測準備を行った。また、限られた観測時間の有効利用を図るため、1950m深まで観測可能なXCTD2プローブを購入し、CTD観測の充実を図った。 夏期(6月下旬〜8月下旬)に行われた、北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸の北洋航海には、研究代表者が乗船し、海洋観測に携わった。海洋観測は、ほぼ当初の計画通り、アラスカンストリーム海域・亜寒帯海流海域を横断する観測断面を3断面に渡って行うことが出来た。観測結果から、3断面のうちアラスカンストリームの上流域にあたる西経165度と170.5度では10Sv前後(1Sv=10^6m^3s^<-1>)、経度180度では20Sv前後の西向き流量がそれぞれ求められた。この結果から、アラスカンストリームが流下方向に増大する傾向は過去の観測結果と一致した。また過去の観測結果とあわせて、アラスカンストリーム1Svが運ぶ熱・塩分輸送量は、流下方向に低温・高塩化することも確かめられた。さらに高温低塩分水の流出は、流速構造の変化に繋がり、表層沿岸よりに在った最大流速値が、湧昇域の急峻化によって、流域中央部の亜表層に遷移する事も確かめられた。 この結果を踏まえて、今後は東西循環を繋ぐ流量、外部との流入・流出量に着目し、ADCPデータや水塊分析データを基に解析を進める。さらにArgoフロートデータ、衛星データや気象データとの対応も図り、東西循環の繋がりと、循環流のコアとなる湧昇域の空間分布に着目して解析を進める予定である。また来年度にも同様の観測を行い、経年変動の実態を明らかにしたい。 本年度の成果の一部は、2004年日本海洋学会秋季大会、海洋研究所大槌シンポジウム等で発表・報告した。これからも更なる成果を公表し、広く意見を求めて今後の研究につなげたい。
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