2003 Fiscal Year Annual Research Report
陸域再循環過程の定量化に関する同位体水文気象学的研究
Project/Area Number |
15740289
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 勤 筑波大学, 地球科学系, 講師 (80304369)
|
Keywords | 水循環 / 同位体 / トレーサー / 降水起源 / 陸域再循環 / 大気水輸送 / 同位体水文気象学 |
Research Abstract |
陸域起源水蒸気の同位体signatureを明らかにするため、草地上複数高度での水蒸気サンプリングを行い、Ming Line法を用いて同位体フラックス比を算出した。その結果、水蒸気のδ値は低高度で常に大きいという特性が明らかになった。また同位体フラックス比はさらに大きく、表層土壌水のδ値に近似していた。このことは、草地からの水蒸気供給機構としては蒸散の役割が支配的で、同位体分別はほとんど生じないということを意味している。 一方、林地において複数樹種の樹液の同位体組成を測定したところ、アカマツは地下水もしくは深層土壌水の値に近く、シラカシやアズマネザサは浅層の土壌水の値に近いという結果が得られた。すなわち、森林から大気へ供給される水蒸気の同位体組成は土壌水同位体組成の深度変化と樹種構成に依存することになる。 上記の他、関東平野内の5地点で降水同位体組成の高分解能モニタリングを実施した。その結果、前線性イベントでは広域的に一様な同位体組成となるものの、対流性のイベントでは同位体組成の不均一性が大きく、その傾向は特にイベント初期に顕著であった。これらの結果は、対流性イベントにおけるローカルな水蒸気ソースの寄与の大きさを暗示している。 今後は、水蒸気同位体組成の空間分布を詳細に調査するとともに、降水および地表状態などとの相互関係を明らかにする必要がある。
|
Research Products
(1 results)