2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740304
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
矢野 創 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙研), 宇宙科学研究本部・固体惑星科学研究系, 助手 (00321571)
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Keywords | 弾性波 / 小惑星 / 未分化天体 / 内部構造 / 惑星探査 / 無水不連続媒体 / 粉体工学 / ラブルパイル |
Research Abstract |
近年惑星探査機による幾つかの小惑星のバルク密度計測によって、その内部構造にはrubble pile, fractured, shattered, monolithicなど多様なバリエーションがあり得ることが示唆された。地上で回収される隕石に比べてはるかに低い小惑星のバルク密度は、宇宙塵サイズのmicro-porosityと、瓦礫サイズのmacro-porosityのいずれが支配的なのか評価する必要がある。未分化天体の低バルク密度を実現する空隙サイズは、微粒子から微惑星への衝突合体プロセスを直接反映していると考えられる。 小惑星の内部探査に地上での弾性波探査法を適用する際、含水の影響を定量的に評価し、乾燥・真空状態における物理現象を理解することが不可欠である。なぜなら水の不在は不連続岩盤の間を満たす媒体の不在を意味しており、これは弾性波探査の伝播・減衰に重要な影響を及ぼすと考えられるからである。 そこで本研究では、コンパクション(空隙の圧縮)を起さず、他粒子との接触点のモデル化が簡単なガラスビーズを模擬レゴリスとして、弾性波の反射・回り込みのない容器に充填し実験を行っている。H15年度には、時間分解能と広域レンジに優れた波形計測器を導入して低出力・短測定長での測定を主とした。ガラスビーズを不連続媒体として、数kHz〜MHzの弾性波を入力し、適切な信号増幅を行った後に、広帯域のAEセンサーを用いて信号を検出した。その結果、含水媒体が介在しない不連続媒体を透過する弾性波は、不連続媒体の粒子サイズによって、減衰率および最大透過波長が異なる可能性があることを確認した。それぞれに入力された弾性波の挙動(波形)、減衰率、最大透過波長などの変化についてデータを取得し、入力エネルギー、粒子サイズ、混合比、受信部と発信部の距離などを関数として、現在定量的に評価している。
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