2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸素17を含むアイソトポマーを指標とした一酸化二窒素の地球化学的挙動の解明
Project/Area Number |
15740319
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊田 栄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (30313357)
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Keywords | 一酸化二窒素 / アイソトポマー / 酸素17 / 対流圏 / 成層圏 |
Research Abstract |
一酸化二窒素(N2O)は地球温暖化や成層圏オゾンの消長に影響を与える、大気中の微量成分である。その大気中濃度は産業革命以後増加し続けているが、N2Oの全地球規模での物質収支に占める、各発生源、消滅過程の寄与は十分明らかになっていない。 本研究は、安定同位体17Oを含むN2Oのアイソトポマー(種々の安定同位体を含む分子種)に注目し、その存在度を高感度・高精度で測定する方法の開発、およびこれを指標として、N2Oの種々の発生・消滅過程の寄与を明らかにし、対流圏のN2Oの収支についての情報を引き出すことを目的としている。今年度は以下の成果が得られた。 1.N2Oの高感度delta17O計測法の開発 100mlオーダーの大気試料からN2Oをオンラインで濃縮・精製した後、熱分解炉によりN2とO2に分解し、O2をガスクロマトグラフで分離・精製して直接質量分析計に導入し、その同位体比を計測することによりdelta17O、delta18Oを求める分析システムを設計し、必要部品を調達した。熱分解炉に用いる金製の反応管の性能試験を行いN2Oがほぼ完全にN2とO2に分解されていることを確認した。同位体比標準用の高純度N2O試料のdelta17O、delta18Oを既報のオフライン分析法により決定するための実験器材を設計・調達した。 2.大気試料の採取および分析 安定同位体15N、18Oを含むN2Oアイソトポマーについて、人為発生源から十分離れた離島で毎月採取された対流圏大気試料を分析し、3年間の経年変化を調べた。高度約30kmまでの成層圏大気試料を得るための大気球を用いたクライオジェニックサンプリング実験に参加・協力し、南極昭和基地上空において2度の試料採取に成功した。持ち帰った試料について、17Oも含めた各アイソトポマーの存在度を測定する予定である。
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Research Products
(1 results)