2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起蛍生法による大気圧グロープラズマの診断-アフターグロー領域中の活性種の同定及び濃度測定-
Project/Area Number |
15740329
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 邦翁 上智大学, 理工学部・化学科, 助手 (60276516)
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Keywords | 大気圧グロープラズマ / 吹き出し型放電管 / アッシング / 原子共鳴吸収分光法 |
Research Abstract |
吹き出し型大気圧グロープラズマ装置を用いた固体表面上の有機汚染物酸化除去処理に関して、これまで数年間に渡り研究を行ってきた結果、放電電力や試料ガス流量などの放電パラメーターと除去処理速度との関係が明らかとしてきた。一方、放電場および放電場下流域での化学種の種類とその密度の時間変化に関しては未だ不明な点が多く、本研究ではそれらの点を明らかにすることを目的に、主に分光学的手法を用いて測定を行った。 有機物の酸化反応を引き起こす活性種として、その反応速度の面を考慮すると、酸素原子とオゾンが候補として挙げられる。放電場を通過したガスの温度と処理速度との関係より、オゾンの酸化反応への寄与は小さいことが明らかとなり、酸素原子が主となる活性種であることが示唆された。 放電場下流域の放電が発生していない領域で起きている化学反応についてシミュレーション計算、およびアクチムメトリー法によって求めた放電場の酸素原子の相対濃度の結果より、酸素原子は原子同士の衝突による酸素分子の生成反応だけでなく、酸素分子との衝突によるオゾン生成反応によってもかなり消費していることが明らかとなった。そこで、酸素原子源として酸素の代わりに亜酸化窒素(N_2O)を用いて処理を行ったが、放電によって生じてしまう一酸化窒素(NO)によって酸素原子が連鎖的に消費されてしまい、結果的に高い処理速度を得ることはできなかった。 最後に、原子共鳴分光法を用いて放電場および下流域に存在する準安定励起状態のヘリウム(He^*)の相対密度変化を測定した。その結果、He^*は、ヘリウムのみでは数msの寿命を持つこと、また極少量の酸素添加によって極端に減少し、除去処理が最大となる1%程度の濃度ではほとんど消失してしまうことが明らかとなった。すなわち、He^*が有機物表面まで到達して除去処理をアシストするような効果は無いことが示唆された。
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