2004 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒ラマン分光法を用いた分子J会合体中フレンケル励起子の振電相互作用の研究
Project/Area Number |
15750005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 英明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70334240)
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Keywords | コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱 / フォトニック結晶ファイバー |
Research Abstract |
近年報告され、注目を集めている液液界面に生じる分子J会合体微結晶を空間分解して研究するため、コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(CARS)顕微分光光学系の開発を行った。フォトニッククリスタルファイバーを用いることによりコヒーレント白色光を発生させ、これと同軸にチタン・サファイア発振器からの出力を狭帯域化した光パルスを倒立顕微鏡に導入した。試料からのCARS光を進行方向に設けた対物レンズで集め、複数のフィルターを経由して分光器に導入した後CCDカメラで測定した。本測定系により、これまで実現し得なかった非常に広帯域(>2500cm^<-1>)でのマルチプレックスCARS測定を顕微分光で実現することに成功した。完成した装置を用いて、ポリスチレンビーズを測定し、装置の性能評価を行った。また、生体試料への応用も行った。細胞膜のモデルとして考えられている脂質二重膜で構成されたマルチラメラベシクルを、C-H伸縮振動に帰属されるラマンバンドで可視化することに成功した。また、生体試料のin vivo観察にもこの方法が適用できることに着目し、生細胞である酵母を試料としてin-vivoラマンイメージングを行うことにも成功した。これにより、細胞内のオルガネラの一つであるミトコンドリアをCARSで可視化することに成功した。さらに、本研究のメインテーマである分子J会合体微結晶への適用も行った。有機溶媒に溶解したポルフィリン分子を硫酸水溶液面に滴下し、数時間後に生成した微結晶を試料として用いた。前期共鳴効果により、非常に強いCARS信号の発生を観測した。信号は露光時間20msで測定できるため、非常に高速に微結晶の三次元CARSイメージングを行うことに成功した。
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Research Products
(5 results)