2003 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー励起非共鳴多光子イオン化法を用いた内殻励起中性脱離反応の研究
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15750011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 真一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60304391)
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Keywords | 内殻励起脱離反応 / イオン脱離 / 中性脱離 / 軟X線放射光 / フェムト秒レーザー / 非共鳴多光子イオン化 / 飛行時間型質量分析(TOF-MS) / ポリメチルメタクリレート(PMMA) |
Research Abstract |
本研究では内殻励起脱離反応のダイナミクスを多角的に解明するため、軟X線放射光とフェムト秒レーザーとを組み合わせることにより、内殻励起中性脱離種の検出・同定のための実験手法を確立し、イオン脱離計測との対比からそのメカニズムの詳細を検討することを目的とした。 軟X線照射により脱離した中性種を、超短パルスレーザーでイオン化し、飛行時間型質量分析器(TOF-MS)を用いることで直接脱離したイオン種や残留ガス成分と区別しながら効率良くまた高感度に測定する必要がある。そのための実験環境を整えるため、必要となる光学部品、真空部品、電子部品を整備した。次にこれら整備した装置でのフェムト秒レーザーイオン化検出効率を評価するため、水やメタン、フッ化メタン、トルエン、メチルイソブチレートといった有機分子を用いて気相でのイオン化検出実験を行い、分子種によってイオン化効率やフラグメンテーションの起こりやすさが異なることや、非共鳴多光子イオン化とトンネルイオン化のいずれが優位に起こっているかを調べた。続いてこれらの情報をもとに放射光との併用実験での各種条件設定を行い、低温凝縮水分子の酸素内殻領域での脱離中性種検出実験を行った。これに平行してイオン脱離反応の測定を行うことにより、イオン脱離と中性脱離の比較評価も行った。凝縮水分子ではイオンとは異なって親分子の中性脱離が多く、光による直接的な脱離ではなくサーマルな脱離を起こしていると考えられる。また、イオン化しきい値以上の高エネルギーになるに従って親分子としての中性脱離量が減少することから、shake-upやshake-offイオン化による多正孔状態生成により、親分子としての中性脱離が抑制されていると考えられる。更に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)高分子薄膜の酸素内殻領域での脱離中性種検出実験を現在までに進めており、イオンとは異なる様々な解離中性種が脱離していることが分かった。
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