2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750014
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
砂川 武義 福井工業大学, 工学部, 助教授 (60329456)
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Keywords | 電子付着反応 / 時間分解マイクロ波誘電吸収法 / 過渡吸収法 / パルスラジオリシス / マイクロ波空洞 / マイクロ波空洞共振器 / 電子的励起 / ハロゲン化合物 |
Research Abstract |
本研究はパルスラジオリシス・マイクロ波加熱空洞法により、さまざまなハロゲン化合物の電子付着速度定数の平均電子エネルギー依存を測定し、この結果を電子付着断面積に変換し報告してきた。最近、試料気体の温度を電子エネルギーとは独立に150K〜600Kの範囲で変化させる手法を確立し、CHCl_3を対象に測定を行ったところ、基底状態分子比べ振動励起分子の方が低エネルギー領域の電子を非常に効率よく捕獲することを分かった。また、この実験から室温における分子の電子付着反応においても振動励起分子による影響が無視できないことを示した。そこで、振動励起より高いエネルギー状態である電子励起状態に着目しその電子付着過程を明らかにすることを考えた。一般に電子付着過程において対象とする分子の電子状態は付着後の負イオン状態に多大な影響を与えるとされているため、電子励起分子の電子付着を解明することは電子付過程の本質を明らかにするためにも非常に重要な研究であると考える。 本研究はこのような背景に基づき、パルス紫外線レーザーにより電子励起された電子親和性気体(クロロベンゼン等)の電子付着過程を対象として測定を行い、その結果と基底状態の結果とを比較し、電子励起分子の電子付着過程を明らかにすることを主要な目的とする。本年度は、パルスX線とレーザー光を同期させ、試料気体に照射することが可能であり、試料気体を室温から液体窒素温度の範囲で変えられるマイクロ波空洞共振器の開発を行った。最初に、高出力レーザーをマイクロ波空洞共振器へ導入するための基本実験として、時間分解マイクロ波誘電吸収法と過渡吸収法の2種類の異なる測定法を組み合わせ、レーザー照射により生じた生成物を同時間に測定する手法の確立を試みた。ここで、時間分解マイクロ波誘電吸収法とは物質へのレーザー光照射において生成する生成物の双極子モーメントの変化量を誘電損失量として検出し、生成物の挙動を明らかにする手法である。この手法の確立のために製作した検出器であるマイクロ波空洞共振器は3箇所に光照射用の孔を持つものであり、空洞共振器中に高出力のレーザー光を導き、貫通させることにより空洞共振器内壁面で生じる熱によるノイズを取り除くことを可能とした。この基本実験を基に光照射可能貫通型空洞共振器(MSC-10LHP マイクロ電子株式会社製作)を開発した。本空洞共振器は共振周波数9325MHz、共振モードTE_<011>をとり、直径9.5mmの石英試料セルを空洞共振器中に貫通させるように配置し、高出力レーザー光を導くようにした。さらに、石英試料セルへ液体窒素により冷却させた乾燥空気を吹き付けることにより、室温以下に試料気体の温度を下げることを可能とした。
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Research Products
(1 results)