2003 Fiscal Year Annual Research Report
フラロデンドリマーの超簡便合成法の開発と物性及び機能に関する研究
Project/Area Number |
15750036
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高口 豊 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10293482)
|
Keywords | デンドリマー / フラーレン / アントラセン / ジスルフィド / Diels-Alder反応 / 光付加反応 |
Research Abstract |
(1)フラロデンドリマーの合成収率の向上 本研究者が見出した、アントラセンをフォーカルポイントにもつポリアミドアミンデンドリマーとフラーレンとのDiels-Alder反応によるフラロデンドリマーの合成法において、アントラセンデンドリマーの分子設計がフラロデンドリマーの合成収率に大きく影響を及ぼすことを明らかとした。すなわち、アントラセンデンドリマーの立体的効果を考慮し、デンドリマー型の置換基の位置を9位から2位へと変更し、また、電子的効果を期待して、より電子吸引的な性質の高いカルボニル基をデンドリマーとアントラセンの間に配置したところ、フラロデンドリマーの収率が70%を超え、当初発表した反応に比べ5倍程度の収率が得られた。これは、フラロデンドリマーの合成収率としては、これまで報告されている中で、最も収率の高い方法と肩を並べる結果であり、触媒等を一切必要としない点を考慮すれば、最も簡便で効率の良い合成法であるといえる。したがって、フラロデンドリマーの超簡便合成法の確立へ向けて、大きく前進することができた。 (2)ジスルフィドの付加反応を利用した新規フラロデンドリマー合成法の開発 ジフェニルジスルフィドをコアにもつポリアミドアミンデンドリマーが、フラーレンに対し光付加反応が進行することを見出した。収率は10%前後とまだ十分とはいえないが、これまで報告されていないまったく新しい反応様式を持つ合成法を見出した意義は大きい。また、フラーレンに電子供与性の高い硫黄原子を直接結合させることができるので、フラーレンの物性のチューニングといった面からも価値が高い。今後、こうした反応について詳しく調べ、(1)と同様に、デンドリマーの分子設計を最適化することで収率の向上を実現すれば、あらたなフラロデンドリマー合成法として多大な貢献が見込まれる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 高口 豊: "フラロデンドリマーの合成と医薬品への応用"機能材料. 24・2. 14-22 (2004)
-
[Publications] 高口 豊: "機能性官能基をコアに持つデンドリマーの合成と応用"科学と工業. 78・1. 25-31 (2004)
-
[Publications] Y.Takaguchi, H.Aoyama, T.Akasaka 他4名: "Photoinduced Dithiolation of Fullerene[60] with Dendrimer Disulfide"Chem.Lett.. 32. 1124-1125 (2003)
-
[Publications] Y.Takaguchi, S.Tsuboi, H.Aoyama, T.Akasaka 他4名: "Facile and Reversible Synthesis of an Acidic Water-Soluble Poly(amidoamine) Fullerodendrimer"Tetrahedron Lett.. 44. 5777-5780 (2003)
-
[Publications] Y.Takaguchi, S.Tsuboi, K.Ohta, H.Aoyama 他4名: "Self-assembly and Regioselective Photodimerization of Anthracene Having Dendritic Substituent"Org.Lett.. 5. 1677-1679 (2003)
-
[Publications] M.Fujitsuka, O.Ito, Y.Takaguchi 他4名: "Intra- and Intermolecular Photochemical Properties of Poly (amidoamine) Dendrons with an Anthracene at Focal Point"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76. 743-747 (2003)