2003 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティープローブを用いた短寿命反応中間体の動的構造解析
Project/Area Number |
15750038
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 守文 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00275314)
|
Keywords | ラジカルカチオン / 光学活性体 / [4+2]環化付加 / 光電子移動 / 円二色性スペクトル |
Research Abstract |
キラル側鎖を有する光学活性ナフタレン化合物を合成し、オルトクロラニルとの光反応を行った。オルトクロラニルはナフタレンのジアステレオ面を区別して[4+2]付加することを見出した。キラル側鎖を系統的に変え、面区別付加の選択性を調べたところ、1)孤立電子対を有する酸素原子を側鎖の適切な位置に組み込む、2)その酸素官能基として比較的かさ高い置換基を用いる、この二つの条件を満たすときに高い選択性(最高92:8)が得られた。 この光反応について、レーザー閃光光分解による過渡吸収スペクトル測定を行った。ナフタレンラジカルカチオンに由来する過渡吸収スペクトルが750-550nmの領域に確認できた。この結果から、オルトクロラニルの励起状態からナフタレン化合物への光電子移動が進行しナフタレンラジカルカチオンが生成していることがわかった。 次に光学活性ナフタレンラジカルカチオンの円二色性(CD)スペクトル測定を行った。その結果、光付加反応において高い面選択性を示したナフタレン化合物のラジカルカチオンにのみ、可視領域での比較的強いコットン効果が観測できた。キラル側鎖がラジカルカチオン部に面区別して求核的に相互作用し、面性キラリティーが生じていると考えられる。光付加反応においてオルトクロラニルがキラル側鎖に対して逆側から付加した生成物が優先していることからも、側鎖の求核的相互作用の存在が示唆される。 このように、光付加反応のキラル生成物分析とラジカルカチオンの円二色スペクトル分光分析とを組み合わせることで、短寿命反応活性種に働く相互作用の存在の実証および、その構造的特徴を明瞭にすることに成功した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Morifumi Fujita: "Michael Addition of Cyanide to Cyclohex-1-enyliodonium Salts"Chemistry Letters. 32・4. 382-383 (2003)
-
[Publications] Morifumi Fujita: "Generation of Cycloheptyne during the Solvolysis of Cyclohexylidenemethyliodonium Salt in the Presence of Base"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76・9. 1849-1855 (2003)