2004 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック化合物を導入した生体機能分子の光制御
Project/Area Number |
15750039
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲田 妙子 北里大学, 理学部, 講師 (60286375)
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Keywords | フォトクロミズム / アゾベンゼン / リゾチーム / 光制御 |
Research Abstract |
本研究は,フォトクロミズムに伴う構造変化を利冊して,生体関連物質の機能を可逆的に制御することを目的として研究を行っている.生理活性機能として,酵素反応に焦点をしぼり,ターゲットタンパク質として,構造・活性中心などが解明されているニワトリ卵白リゾチーム(EC.3.2.1.17)を選んだ.光応答基として,代表的なフォトクロミック化合物のひとつであり,フォトクロミズムに伴う構造変化が比較的大きいアゾベンゼン誘導体を用いた.活性の制御には、解素タンパク質の基質結合サイト近傍に位置選択的に光応答基を導入することが有効であると考え,まず,(1)リゾチウムの立体構造をもとに,導入するアゾベンゼン誘導体と導入位置を分子設計した.そして,(2)光応答基を活性中心近傍のアミノ基およびカルボキシル基に位置選択的に導入する方法,ならびに修飾タンパク質の精製法を確立し,3種類の光応答性リゾチームを合成した.そして,(3)これらの化学修飾は,リゾチーム全体の高次構造には大きな影響を与えず,導入したアゾベンゼン部分の光異性化反応は,活性中心近傍の局所的構造変化を誘起することを明らかにした.その結果,(4)アゾベンゼン部分の光異性化によって,リゾチウムの酵素反応の動力学パラメータが可逆的に変調できることを確認した.例えば,Asp101の側鎖にp-アミノアゾベンゼンをアミド結合の形で導入した米応答性リゾチームの場含には.フォトクロミズムに伴い,基質との親和性が2倍変化することがわかった.また,アゾベンゼン誘導体を適切な位置に導入すると,通常のアゾベンゼン場合とは異なり,熱反応によるシス体からトランス体への異性化が抑制できることがわかった.
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