2003 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル中のナノ束縛空間で成長した錯体ナノ結晶の界面電場制御と高速光応答
Project/Area Number |
15750044
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 助教授 (50292826)
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Keywords | ナノ結晶 / 逆ミセル / 配位高分子 / シアノ架橋 / AOT / NP-5 |
Research Abstract |
d-d、f-d遷移金属イオンをシアノイオンを架橋配位子として交互に規則配列した配位高分子のナノ結晶を、逆ミセルのナノ空間反応場を用いて作製してきた。逆ミセル化剤としては、イオン性型界面活性剤(AOT)や、非イオン性界面活性剤(NP-5)を用いて行った。d-d配位高分子であるFe-CN-Co型ナノ結晶では、AOTを用いた場合、一辺が10から20nmの立方体のナノ結晶が得られることがTEM測定により分かった。しかし、その粒径は逆ミセルで予想されるナノ空間(直径5nm)よりも結晶成長が進んでしまい単分散性もそれほど良くなかった。Fe-CN-Co型ナノ結晶のスピン状態を紫外可視吸収スペクトルにより追跡した。錯形成直後ではFe欠損型のHigh spin型が優勢であったが、徐々に安定なFe:Co=1:1型のLow spin型へと変化した。また、High spin型錯体では、その結晶界面にピリジンを配位させることで、Low spin型へと電子状態を変化させることに成功した。Fe-CN-Co型ナノ結晶に紫外光を照射すると、光還元体が生成することが分かった。 f-d配位高分子であるFe-CN-La型ナノ結晶では、AOTを用いた場合、結晶成長の抑制効果が高く5nm以下の結晶が得られることが分かった。NP-5を用いた場合では、逆に結晶成長が促進され、数十nmの結晶も観られるものの、100nmを超える結晶成長が確認された。NP-5では、結晶界面の安定化が小さく、ナノ結晶同士の凝集による結晶成長が抑制できないことが分かった。しかし、NP-5はそのキレート効果により、結晶界面からの希土類イオンの解離を誘発し(エッチング効果)、いったん成長したナノ結晶の粒径は時間の経過と共に徐々に減少した。
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