2004 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル中のナノ束縛空間で成長した錯体ナノ結晶の界面電場制御と高速光応答
Project/Area Number |
15750044
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 助教授 (50292826)
|
Keywords | ナノ結晶 / 配位高分子 / 逆ミセル / 界面活性剤 / 表面保護分子 / モルフォロジー / スピン制御 / 金属錯体 |
Research Abstract |
異なるd、f遷移金属イオンをシアノ基を介して交互に無限に規則配列したプルシアンブルー型配位高分子結晶について、特にFe-Co及びFe-Laのナノサイズの結晶に注目して研究を遂行した。Fe-Co配位高分子結晶は、Co/Feの組成比に依存して安定なスピン状態が変化する。このスピン転移温度は結晶内部のFe欠損から生じるCo-OH_2サイトの数に依存している。一方、そのナノ結晶では結晶表面に存在するCo-OH_2サイトの数が無視できなくなる(例えば、粒径が10nm程度では結晶表面に存在する金属イオンの数は30〜40%に達する)。これまで、Fe-Co配位高分子ナノ結晶の金属組成・粒径に依存したスピン状態の変化、及び、結晶表面のCoイオンに対する分子修飾(OH_2配位子との交換反応)によるスピン状態の制御に関する報告は未だない。本研究では、逆ミセル法により、組成がCo/Fe=1.25付近の異なる粒径のFe-Co配位高分子ナノ結晶の作製に成功した。10nmを超える粒径を持つ結晶ではlow spinが、それ以下の粒径の結晶ではhigh spinが室温での安定状態であることを明らかにした。また、10nm以下のhigh spin状態の結晶でも、結晶表面のOH_2配位子を、より強い配位子場を持つピリジン、アンモニアなどに交換することにより、つまり、結晶表面の分子修飾により、low spinにスピン転移させることに成功した。Fe-La配位高分子ナノ結晶では、d-d配位高分子ナノ結晶で知られる形状(立方体)とは異なる結晶形態が発現することを発見した。その形態は逆ミセルで用いる界面活性剤と結晶表面のLaイオンとの弱い配位結合相互作用の効果で、六角板状から六角リング状へと変化することを見出した。プルシアンブルー型配位高分子ナノ結晶のモルフォロジー制御に関してはこれが最初の例である。
|
Research Products
(2 results)