2005 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル中のナノ束縛空間で成長した錯体ナノ結晶の界面電場制御と高速光応答
Project/Area Number |
15750044
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 助教授 (50292826)
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Keywords | プルシアンブルー / ナノ結晶 / 配位高分子 / スピン転移 / 逆ミセル / シアノ架橋 / アンモニア / ピリジン |
Research Abstract |
遷移金属イオンをシアノ基を介して交互に無限に規則配列したプルシアンブルー型配位高分子結晶について、特にそのナノサイズの結晶に注目して研究を遂行した。Fe-Coプルシアンブルー類似体(PBA)は、Co/Feの組成比に依存して安定なスピン状態(high spin(Fe(III)-Co(II)とlow spin(Fe(II)-Co(III))が変化する。このスピン転移温度は結晶内部の[Fe(CN)_6]欠損を補償するために生成するCo-OH_2部位の数に依存している。一方で、結晶表面を[Fe(CN)_6]欠損サイトと考えれば、そのナノ結晶では結晶表面に存在するCo-OH_2部位の数は無視できなくなる(例えば、粒径が10nm程度では結晶表面に存在する欠損部位は30〜40%に達する)。逆ミセル合成により、Fe-Co PBAのナノ結晶の合成を行った。紫外可視吸収スペクトルから、逆ミセル溶液中に分散しているナノ結晶のスピン状態の経時変化(high spin→low spin)が観測された。このスピン状態の変化は組成(Co/Fe)の変化(1.3→1.2)と粒径増大(16→23nm)に起因していることが分かった。一方で、ピリジンを予め添加し、Fe-Co PBAナノ結晶を逆ミセル合成した場合、結晶の生成直後からlow spin状態を示し、そのスピン状態の経時変化は観測されなかった。また、その組成(1.2〜1.3)にも大きな変化は観測されなかった。一方で、アンモニアを予め添加した系では、スピン状態(low spin)及び組成(1.2〜1.3)の変化は観測されなかったが、粒径の増大は見られた。ピリジンやアンモニアは結晶内部あるいは表面のH_2O配位子との交換により。CoイオンはCo(III)で強く安定化するため、low spin状態となっていると考えられる。
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Research Products
(2 results)