2004 Fiscal Year Annual Research Report
超分子構造を構築するポリモリブデン酸イオンの光合成
Project/Area Number |
15750045
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 英里 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (90323831)
|
Keywords | イソポリモリブデン酸 / X線構造解析 / 金属-金属結合 / ^<95>Mo NMRスペクトル / 光還元反応 / 混合原子価 / ε-Keggin構造 / La^<3+>イオン |
Research Abstract |
一般にポリモリブデン酸はpH8以上のアルカリ性溶液中で分解して単核のモリブデン酸イオンとして存在する。しかし昨年度までの研究で見出されたpH5でのイソポリモリブデン酸の光還元種である[H_<16>Mo^V_<12>O_<40>(Mo^<VI>O_3)_4]^<4->はpH12の強アルカリ性の水溶液中でもその骨格を安定に保持し、プロトネーションサイトの脱プロトン化も起こらないことが単結晶X線構造解析により確認された。[H_<16>Mo^V_<12>O_<40>(Mo^<VI>O_3)_4]^<4->はε-Keggin型{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}に4個の{Mo^<VI>O_3}がキャップした構造を持つ。このアニオンにおいて12個の還元電子は全て{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}構造を構成する2.6Åの6個のMo^V-Mo^V結合部分に完全に局在化して反磁性になっており、アニオンを構成するMoサイトの酸素原子の配位環境はいずれも正八面体構造もしくは正四面体構造を取っていて非常に対称性が高い。そこで^<95>Mo NMRを測定したところ鋭い2本のシグナルが304ppm(v_<1/2>=63Hz)と268ppm(v_<1/2>=50Hz)に観測された。積分比から考慮して304ppmのシグナルは{H_<16>Mo^V_<12>O_<40>}構造を構成するMo^Vサイトに268ppmのシグナルはキャップ部分のMo^<VI>サイトへと帰属した。Mo^Vの^<95>Mo NMRスペクトルの報告は少なく、また一つのクラスター内で同時にMo^VとMo^<VI>によるシグナルが観測された例は当方が知る限り初めてである。 一方、酸性条件下でのイソポリモリブデン酸の光誘起自己集合化反応により{Mo_<154>}をはじめとする種々のMoブルーナノリングが形成されることがすでに報告されているが、反応系にLa^<3+>イオンを共存させることにより2個のLa^<3+>イオンを取り込んだ楕円型リング構造である[Mo_<150>O_<452>H_2(H_2O)_<66>{La(H_2O)_5}_2]^<24->が形成されることをX線構造解析により明らかにした。
|
Research Products
(2 results)