2005 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノイド核分裂における核分裂片電荷測定装置の開発と電荷分割機構に関する研究
Project/Area Number |
15750046
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 真一 新潟大学, 機器分析センター, 助教授 (70334646)
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Keywords | 核分裂 / 核分裂片 / 電荷測定 / イオンチェンバー / 飛行時間質量分析器 |
Research Abstract |
本研究の目的は,核分裂によって生成する核分裂片の電荷(原子番号)を精度よく測定するための検出器の開発である.今年度は,これまでの研究成果を基に,検出器の基本性能のチェックと,更なる性能の向上を目指し研究を行った. 核分裂片の電荷測定の基本的な原理は,核分裂片が気体中を通過する際に,ある通過距離で失った運動エネルギーを精密に測定することである.そのためには,比較的低い圧力の気体中で長距離を飛行させることが求められるが,核分裂片の運動エネルギーはおそよ100MeVであるので,現実的な検出器の大きさを考えると,イソブタンを100torrの圧力で充填せするのが限界であった.また,検出効率向上のために検出器の開口率を上げようとすると,電極間距離が大きくなり,高電圧の印加が求められるため,いかにして放電を抑えて高電圧を印加するかが課題であった. これらの問題に対して,放電しにくい構造に検出器のデザインを変更するとともに,アノードとカソードへの印加電圧とエネルギー分解能の関係を詳細に調査した. アノードへはプリアンプの制限から+1kVまで印加可能であり,アノード・グリッドの電極間距離が1cmであるため,カソード・グリッド間は-1kV/cm以下の電場勾配でなくてはならない.カソード・グリッド間の距離をさまざまに変化させ,カソードへの印加電圧と^<252>Cfからのアルファ線のエネルギー分解能の関係を調査したところ,電場勾配の増加とともに分解能はよくなり,-0.65kV/cmで1.76%の分解能を得た.これ以上の電場勾配では,電子がグリッドを通過する効率が悪くなるため,分解能も悪化した. この結果より,より現実的な印加電圧の範囲では,カソード・グリッド間距離は6cm程度となり,かなり明るい検出器が実現できた.また,核分裂片についてもアルファ線と明確に異なるパルス波高で観測することができた.検出器のデザイン変更のため,電荷測定には至らなかったが,十分測定可能な性能の検出器を製作することができた.
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