Research Abstract |
中重標的核のハドロンによる高エネルギー核反応において質量数40位までの軽核の顕著な生成は,"フラグメンテーション"として核反応研究の初期より核反応の主要反応の一つとして知られているが,現在もなおその反応機構は明確になっておらず,様々なモデルが考案されてはいるものの,はっきりとした結論が出ていない。この反応機構解明の手がかりとして,(1)入射粒子による軽核の生成の影響,(2)標的核による軽核生成の依存性,(3)軽核のエネルギースペクトル及び角度依存を明らかにする。研究代表者らの以前の研究では,中高エネルギーの光核反応について,様々な標的核における^<7,10>Be,^<22,24>Na,^<28>Mgの生成収率を調べた。 本年度,軽核のエネルギースペクトルを測定するために,新たにdE-E-TOF検出器を作製した。そして,放医研HIMACにおいて400MeVαを入射粒子とした核反応で軽核を生成し,主に検出器のテスト実験を行った。強度優先のため入射粒子には陽子にこだわらず,α粒子を選択した。C,Al,Agを標的とし,核種弁別までは出来なかったが元素ごとのエネルギースペクトルを得ることが出来た。核種弁別は今後の課題である。また,入射粒子による軽核の生成の影響を調べるために,テスト実験で使用した400MeVのαと最大500MeVの中性子誘起核反応による^<7,10>Beの収率測定を行った。標的は,C,Al,Cu,Ag,Auを用いた。中性子核反応の実験は当初計画になかったが,中性子照射コースが,本年度KEKで研究代表者らにより完成し,スペクトルが決定して利用のめどが立ったため追加した。この実験により,異なる3入射粒子による^<7,10>Be生成への違いを発見した。今後,陽子誘起反応についても調査し,また,標的核を増やし,さらに詳細な比較を行う予定である。
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