2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石坂 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80311520)
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Keywords | 液 / 液界面 / 分子認識 / 全反射蛍光 / 動的蛍光異方性 / 水素結合 |
Research Abstract |
水素結合相互作用は、水溶液中においては水分子自体が水素結合能を有するため効率良く起こらないが、生体系においては、水分子が存在する環境においても高い分子認識を実現している。このような水分子が存在する不均一な反応場における水素結合相互作用を理解することは基礎的に大変重要な問題である。油/水界面は、タンパク質の結合部位に類似した反応場と捉えることが出来る。そこで本研究では、油/水界面に生体系の機能を模倣した単純なモデル系を構築し、界面で形成する水素結合を介した分子認識系を直接観測すること、また、その温度依存性から水素結合形成の熱力学的パラメータを決定することを目的とした。 水相に、生体関連物質であるリボフラビンを、四塩化炭素相に人工レセプターとしての2,6-ジアミノトリアジン誘導体(DTT)を溶解させ、時間分解全反射蛍光法を用い、界面において形成したホスト-ゲスト錯体の蛍光ダイナミクスを測定した。界面におけるRFの蛍光減衰曲線には、短寿命成分と長寿命成分の二成分が観測され、四塩化炭素相のDTT濃度の増加に伴い、長寿命成分に対する短寿命成分の割合が増加した。さらに動的蛍光異方性の測定から、四塩化炭素相にDTTが存在することにより、界面におけるRFの分子回転の速度が低下することを実験的に観測した。以上の実験結果より、油/水界面において形成するホスト-ゲスト認識錯体を分光学的に直接観測することに成功した。また、水/四塩化炭素界面張力の温度依存性の測定から、界面におけるRFとDTTの分子認識に伴う熱力学パラメーターを決定し、RFとDTTが界面において分子認識を行った場合には、バルク有機溶媒中において分子認識した場合に比べ、エントロピー減少にともなうエネルギーのロスが小さいことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)