2004 Fiscal Year Annual Research Report
電極表面吸着分子の秩序構造形成と非線形光学現象の誘導による光学異性体検出法の開発
Project/Area Number |
15750069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石岡 寿雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (60304838)
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Keywords | 第二高調波発生 / 分子認識 / 修飾電極 / 誘導適合 |
Research Abstract |
本研究は電極/水溶液界面に分子認識場を構成し,対象分子との水素結合あるいは電位による変化を誘導することにより表面での対称性の変化を増幅し,界面における分子認識,特に光学異性体の分離検出が可能な新規分光検出法を開発することを目的とした. まず電極表面に分子認識場を形成させるため,1-アントラキノンイソチオシアナートを合成し,金単結晶表面にチオール基を介して結合させたシスタミンのアミノ基と反応させた.この反応により,表面にアントラキノン分子がチオ尿素基を介して電極表面に修飾されたこと,及びチオ尿素基が水素結合受容体として機能することを酸化還元反応の電気化学的測定結果より,また,ゲスト分子として機能するリン酸二水素イオンの存在下において大きな非線形分極の変化が誘起されることを,レーザー第二高調波発生の回転異方性測定の結果より確認した.以上の結果から,リン酸二水素イオンに関し水溶液中10^<-1>〜10^<-8>Mの濃度範囲で修飾電極を応答させることに成功した. さらに,修飾分子間相互作用を最適化し秩序性を高めることを目的とし,リン酸二水素イオンと1-アントラキノンイソチオシアナートを錯生成させた状態において金電極表面に修飾する手法を新規に開発した.この手法により電極表面に修飾したアントラキノンの酸化・還元波の半値幅が約150mVから100mVまで減少することを確認し,界面における隣接基相互作用が酸化体-酸化体間および還元体-還元体間で強固となることを見い出した.この結果は界面における分子の秩序性が向上すること,及び誘導適合的手法により形成された界面認識場における隣接アントラキノン分子間の配向が安定であることを意味する.この手法は不斉分子を検出するための表面配向を固定させるための基礎となる技術として利用でき,軸不斉を有したアントラキノン二量体の界面修飾に利用可能であると考えられる.
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Research Products
(1 results)