2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度表面増強近赤外分光法の開発とその非破壊血液分析への応用
Project/Area Number |
15750071
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
池羽田 晶文 関西学院大学, 理工学部, 研究員 (40342745)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / 近赤外分光法 / 屈折率 / 吸光度増強 / Kretschmann配置 |
Research Abstract |
近赤外(NIR)分光法はその場測定可能な非破壊分析法として多方面へ応用されている.しかし,NIR領域における煩収は微弱なため,微量分析には不向きであった.そこで表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した超高感度なNIR分光法,SPR-NIR分光法の開発を行った.この方法は実屈折率応答型SPRセンサで汎用されるKretschmann配置に基づき,複素屈折率の虚部,即ち試料の吸光度を増強させて観測するものである. フレネルの式を用いた光学設計に基づき,Kretschmann配置型の測定用アタッチメントを作製した.水や各種溶媒をサンプルとし,入射光の角度及び金薄膜の厚さを変えて測定した.なお,スペクトルの測定は光ファイバーで連結されたFT-NIR分光若芽を用いた.偏光子の回転並びに入射角度変化はステッピングモーターによりスペクトル測定と連動して自動的に行うことができる. この方法で水のOH伸縮振動の倍音の吸光度が10倍以上に増強されることを実験的に示した.また,その様子がフレネルの式でほぼ完全に再現できた.この方法の特徴をまとめると以下のようになる.(1)試料を選ばず,水以外の液体でも同様に10倍以上の吸光度増強が期待される.(2)nLオーダーの極微量な試料があれば定量測定が可能である.(3)プラズモン共鳴条件のシフトから屈折率の微細な変化も同時に評価できる.しかしSPR-NIR分光法で得られるスペクトルはSPRピークと試料の吸収スペクトルの単純な足し合わせではない.よって今後は理論的なレベルから解析法を創出する必要がある.次年度は特に血中糖度の定量のため,ケモメトリックス等のスペクトル解析法を含む総合的な測定法に発展させる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Ikehala, T.Itoh, X.Li, J.Jiang, Y.Ozaki: "High sensitive detection of near-infrared absorption by surface plasmon resonance"Applied Physics Leters. 83. 2232-2234 (2003)
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[Publications] 池羽田 晶文, 尾崎 幸洋: "吸収応答型表面プラズモン共鳴を用いた高感度近赤外分光法"分光研究. 53. 30-31 (2004)