2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質に応答して蛍光を発する新規細胞型センサー
Project/Area Number |
15750072
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中西 淳 独立行政法人理化学研究所, バイオ工学研究室, 基礎科学特別研究員 (60360608)
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Keywords | イメージング / 蛍光 / 構造変化 / 光電子移動 / 受容体 / 神経伝達物質 / センサー / 重ヒ素化蛍光色素 |
Research Abstract |
本研究課題で開発を目差している神経伝達物質に対するセンサーは,細胞膜上に存在する受容体蛋白質を環境感受性重ヒ素化蛍光色素で標識することによって作製する.このセンサーは,(I)神経伝達物質の受容体蛋白質への結合(II)受容体蛋白質の構造変化(III)構造変化に伴う蛍光色素の環境変化(IV)環境変化に応じた色素の蛍光強度/波長変化,という情報変換プロセスを介する検出原理に基づく.このプロセスにおいて,(II)〜(IV)がセンサーの検出感度に大きく影響するステップであり検討対象となる. まず,上述のプロセス(III)に対する検討を行った.神経伝達物質のアドレナリンに対する受容体のC末に重ヒ素化蛍光色素が結合するサイトである4Cys motifとGFPを連結したリコンビナント蛋白質を作成した.環境感受性重ヒ素化色素BArNileは細胞内でこの蛋白質を標識したが,アドレナリンの結合による蛍光変化は観察できなかった.引き続き4Cys motifの導入箇所の検討を行っている. 続いて,上述のプロセス(IV)を改善すべく,環境感受性を向上した重ヒ素化蛍光色素の開発を目指した.フルオレセインの蛍光量子効率が安息香酸部位の電子状態変化に大きく依存することに着目し,フルオレセイン重ヒ素化物の安息香酸部位に別の蛍光色素を連結した(mansyl FlAsH)を合成した.この分子の環境感受性を評価すべくカルモデュリンの構造変化の検出に用いたところ,今までの重ヒ素化蛍光色素より高感度の構造変化を検出できることが分かった.分子軌道計算から,光電子移動(PET)に基づく蛍光スイッチングを行っており,同分子がタンパク質一般の構造変化を高感度に検出できることが示唆された(Anal. Sci. 20 : 273-278(2004)).現在,この分子を細胞内で利用するための条件検討を行っている.
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Research Products
(1 results)