2003 Fiscal Year Annual Research Report
水中における光感応性ミセルを用いた環境調和型有機光反応系の開発とその応用
Project/Area Number |
15750081
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉見 泰治 福井大学, 工学部, 助手 (30345673)
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Keywords | 環境調和型有機反応 / 有機光反応 / 水中における有機合成 / 光感応性ミセル |
Research Abstract |
疎水性部分にナフタレンやベンゾフェノンの光増感剤を、親水性部分にカルボン酸やスルホン酸、アンモニウム塩を有する界面活性剤を合成した。この合成した界面活性剤を用いて水に不溶である有機化合物の水中での有機光反応を検討した。ナフタレンを有する界面活性剤とジフェニルエチレンを水中で12時間撹拌すると、白く濁ったエマルジョン溶液が得られた。このエマルジョン溶液に光照射すると、ジフェニルエチレンに水が極性付加したアルコールが高収率で得られた。このアルコールは、光照射によりナフタレンからジフェニルエチレンへの電子移動反応から得られることがわかった。有機溶媒中など種々の反応条件を検討したが、合成した界面活牲剤を用いた水中での反応系が一番優れている。これは、疎水相互作用のために水中においてミセル内部に有機化合物が取り込まれ、光感応部分と効率よく反応が進行するためである。また、ベンゾフェノンを有する界面活性剤とインデンのエマルジョン溶液に光照射すると、効率よくトランスの二量体が選択的に生成した。この反応では、ベンゾフェノンが三重項増感剤として働いている。これら、どちらの反応系においても合成した界面活性剤は、反応終了後高収率で回収できる。このように、水中で不溶である有機化合物においても光感応性界面活性剤を用いると、光電子移動、光増感反応どちらでも水中で反応が進行し、反応終了後界面活性剤を回収できることがわかった。現在、反応の最適化と詳しい反応機構の解明、新しい系での有機光反応の開発を行っている。
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