2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子を「捕捉する」部位と「変換する」部位を有する錯体触媒の開発
Project/Area Number |
15750091
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00277831)
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Keywords | ポルフィリン / 自己組織化 / 超分子 / 配位結合 / ホスト-ゲスト |
Research Abstract |
本研究では非共有結合を用いて光電子物性に優れたポルフィリン分子を3次元的に複数個集積し、協同効果によってゲスト分子を特異的、且つ強力に捕捉し、変換する反応場を構築することを目的とした。 2,2'-ビピリジンの5,5'位に2つの亜鉛ポルフィリンを置換した分子を合成し、トリス(ビピリジル)ルテニウム型錯体を形成させた。トリアミン類との相互作用を調べた結果、トリス(アミノエチル)アミン2分子を強力に捕捉することがわかった。また、捕捉の際にポルフィリンのコンフォメーション変化が誘起され、電子状態が変化することも明かになった。 2つのイミダゾリルポルフィリンを5,15-ジフェニル亜鉛ポルフィリンのメタフェニル位で連結したトリスポルフィリン分子では、自己組織化によって排他的に環状のトリスポルフィリン3量体を与えた。この3量体はトリス(ピリジルエチニルフェニル)メタン誘導体を強力に捕捉し、超分子ホスト/ゲスト複合体を形成した。ゲスト分子の中心メチン炭素の残った結合を利用して、電子アクセプターを導入すると、光励起によって周辺のポルフィリン分子からアクセプター分子へと電子移動が起こることを明らかにした。この系を応用することで、薄い太陽光を効率よく捕集し、化学反応へと利用することが可能である。 上記の分子では2つのイミダゾリルポルフィリンが120度に固定されているため、排他的に3量体が形成された。2つのイミダゾリルポルフィリンを連結するスペーサーとして任意の角度を取ることができるフェロセンを用いると、巨大な環状10量体から小さな環状二量体を形成することができた。それぞれの環状体は、サイズ排除クロマトグラフィーによって単離することができ、質量分析測定によって構造確認を行なった。また、環状二量体の内部に捕捉されるゲスト分子の検討も行なった。
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Research Products
(5 results)