2004 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性カルコゲン化合物を用いた不斉Mizoroki-Heck型反応
Project/Area Number |
15750093
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平林 一徳 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40343397)
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Keywords | Mizoroki-Heck型反応 / テルロニウム塩 / パラジウム触媒 / 酢酸銀 / オレフィン / セレニウム塩 |
Research Abstract |
平成15年度には,アキラルなテルロニウム塩を用いて,パラジウム触媒によるMizoroki-Heck型反応が酢酸銀を添加することにより進行することを明らかにした。 反応機構を明らかにするために,種々の添加剤を検討した。銀塩として,一般に酸化剤として用いられる銀塩や,一般に対アニオン交換に用いられる銀塩を用いて反応をおこなったが,Mizoroki-Heck型反応はほとんど進行しなかった。また,反応後の固体の残渣を粉末X線結晶回折により分析したところ,残渣にはヨウ化銀と0価の銀が含まれていることがわかり,酢酸銀は反応後ヨウ化銀と0価の銀に変化していることがわかった。以上の結果から,酢酸銀は生成する0価パラジウムを2価パラジウムに再生するための酸化剤としての役割とテルロニウム塩の対アニオンを交換する役割をしていると考えられる。 種々の対アニオンを有する光学活性エチルメチルフェニルテルロニウム塩を用いて,ジヒドロフランとの不斉Mizoroki-Heck型反応を検討した。対アニオンとしてd-カンファースルホナートやテトラフェニルボレートを有する光学活性テルロニウム塩を用いた場合,7%ee,8%eeと不斉収率は低いながらも不斉反応が進行することがわかった。 一方,テルロニウム塩の代わりにセレン原子からなるセレノニウム塩を用いて,Mizoroki-Heck型反応を検討した。合成の容易さから対アニオンにテトラフルオロボレートを有する4-メチルフェニルジメチルセレノニウム塩を用いて検討をおこなっている。現在のところ,テルロニウム塩の場合反応温度50度で反応が進行したのに対して,セレノニウム塩の場合,反応温度150度と高温にすることにより,Mizoroki-Heck型反応が進行することがわかった。しかし,収率は30%と低く,今後さらなる検討をおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)