2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによる高分子結晶構造相転移における動的機構の解明
Project/Area Number |
15750100
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
玉井 良則 福井大学, 工学部, 助教授 (50324140)
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Keywords | 高分子 / 結晶 / 構造相転移 / シミュレーション / ダイナミックス / ポリスチレン |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続いて,シンジオタクチックポリスチレン(s-PS)の結晶多形体間の相転移を,さまざまな条件下でシミュレーションし,結晶構造の変化と分子運動性との関係を詳細に解析した。特に,(1)相転移の引き金となる分子運動,および,(2)転移過程における集団的な原子の動きについて解析を進めた。時々刻々の構造因子の変化と各原子の位置の変化を追跡し,相転移過程のアニメーションを参考にして,結晶単位胞の変形と高分子鎖の座標変化との関係を明らかにした。 2.シミュレーションによりs-PSγ型結晶の構造を決定した。これについては,いまだに実験による構造決定はなされていない。シミュレーションで得られた構造が実在のγ型結晶に相当するものであるかどうかを確かめるために,構造因子を詳細に解析した。人為的に結晶単位胞を変形させ,構造因子の変化を追跡した。これまでに実験で得られている構造因子との対応を詳細に検討し,実験で得られているγ型結晶には,s-PSα型やβ型などの他の結晶型が混入している可能性があることが明らかとなった。 3.より大きな(原子数が多い)結晶についてもシミュレーションを行い,同様の解析を進めている。また,ポリエチレンやポリメチルペンテンなど,他の高分子結晶に関するシミュレーションにも着手し,結晶構造の再現を試みている。
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Research Products
(2 results)