2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴振動により発生させた触媒表面上の格子変位における表面物性変化と触媒活性化効果
Project/Area Number |
15750114
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 信雄 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (40313572)
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Keywords | 共鳴振動 / 格子変位 / 仕事関数 / 触媒活性 / 反応選択性 |
Research Abstract |
強誘電体単結晶に高周波電力を印加することにより発生できる共鳴振動が、その結晶表面に接合した金属薄膜の触媒活性や反応選択性を顕著に変化させる効果を持つことをこれまでに報告してきた。共鳴振動は触媒表面に動的な著しい格子変位を発生させるが、最近の研究において、その触媒表面上の格子変位には分布が存在し、触媒表面に格子変位の大きなサイトと小さなサイトを与えることがわかった。本研究では、この格子変位の分布が触媒物性に与える効果を調べることを目的として、光電子放出法よる仕事関数測定を行い、格子変位の大きさと仕事関数の対応について調べた。格子変位を測定するレーザードップラー装置と仕事関数を測定する光電子放出装置を組み合わせ、同じサイトで格子変位量と仕事関数の両方を測定できる装置を新たに作製した。Ag触媒において、共鳴振動を与えない場合の仕事関数は4.59eVであるのに対して、共鳴振動状態では格子変位が28nmと最小のサイトでは仕事関数は4.63eV、格子変位が61nmと最大のサイトでは仕事関数は4.72eVに増加した。また、サンプルを連続移動させて測定サイトを変えた場合、格子変位の大きなサイトでは仕事関数の増加量が大きく、格子変位の小さなサイトでは仕事関数の増加量が小さくなり、格子変位量と仕事関数の増加は良い一致を示した。これらの仕事関数の増加は、著しい動的な格子変位によって真空側への電子のしみ出しが増加し、電気二重層が強められたことによると考えられ、格子変位の大きなサイトではこの効果が顕著に現れたものと推察した。触媒反応において、仕事関数が大きく増加するサイトでは触媒表面と吸着種の相互作用が変化し顕著な物性変化を与えるものと考えられることから、格子変位が大きな局所サイトで著しい触媒活性化や反応選択性がもたらされるものと考察した。
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Research Products
(2 results)