2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750118
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 靖 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (30335088)
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Keywords | 水平型QCM / 脂質単分子膜 / 揮発性麻酔分子 / 水和クラスター / 疎水性 / 脱水 / 界面構造水 / 流動化 |
Research Abstract |
平成15年度の研究計画に従い、室温においてDihexadecyl Hydrogen Phosphate (DHP,(C_<16>H_<33>O)_2POOH)単分子膜を水面上に展開し、これに水平型QCM測定装置の検出部(固有振動数:6MHz,感度:±0.5Hz)を接触させた後、種々のアルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール)を水相中に添加し、添加前後における周波数の経時変化を測定した。その結果、全てのアルコールにおいて、周波数の減少(step1)とこれに続く増加(step2,3)を観測した。Step1と2については、添加アルコールの鎖長依存性(周波数の変化量及びstepに要した時間)が見られたが、step3については見られなかった。水相中においてアルコールは、(1)水と容易に混和する、(2)水分子がアルコール分子を取り囲む水和殻構造、水和クラスターを形成する、(3)界面にアルコールが集まる、という特徴を持つ。これから、step1と2については、アルコール水和物が膜/水界面に存在する界面構造水に吸着した後、水和物間の相互作用によりアルコールの多量体クラスターが形成され、これにより水和物水の一部が脱水したものと考えられる。アルコール水和物水分子の量及びアルキル鎖の疎水性度が、周波数変化量及び要した時間に反映されていると考えられる。一方、step3については、添加アルコールの鎖長依存性を示さなかったことから、step2における多量体クラスターの形成及び部分的脱水が界面構造水に二次的に影響を与え、その結果、界面構造水の流動化が発生したものと考えられる。以上の結果から、麻酔は麻酔分子の層形成だけでなく、界面構造水の流動化も伴って初めて発現されるという麻酔発現機構モデルを提案した。これについて現在、論文を投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Yoshida, et al.: "Effects of water-Soluble Alcohols on the Surface Conductance of Lipid Monolayers : Bimodal Action"Journal of Physical Chemistry B. 107. 3196-3198 (2003)
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[Publications] K.Taga, et al.: "Density Functional Study of n-Propyltrichlorogermane and n-Propyltrichlorostannane"Journal of Molecular Structure. (in press).