2004 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ環型尿素分子を用いた逆ベシクルの創製と機能制御
Project/Area Number |
15750122
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林田 修 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教授 (20231532)
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Keywords | 機能性分子集合体 / 分子間相互作用制御 / キラリティー |
Research Abstract |
タンパク質などの生体分子は、水素結合等の分子内相互作用を巧みに利用して複雑に折り畳まれた高次構造を形成し、多様な機能を発現している。これらの所謂セルフフォールディングに起因する機能の発現においては、極性官能基に由来する分子間相互作用の制御が重要である。そこで、機能性分子を用いてセルフフォールディング分子として、我々はレゾルシナレン骨格に柔軟なアルキル鎖を介して不斉点を配した尿素誘導体を導入したマクロ環型オクタ尿素(R)-1,(S)-1を分子設計し、合成した。得られた1は、非極性溶媒中において尿素部位間の水素結合形成に起因して八つの側鎖が寄り集まったキラルな高次構造を与えた。すなわち、クロロホルム中のCDスペクトルは、(R)-1は280nmに正、255,260,265nmに負のCD帯を示し,(S)-1は(R)-1と対称なCDスペクトルを与えた。水素結合形成に起因する剛直な分子構造を反映して、側鎖末端の不斉部位から大環状骨格への不斉の伝達がこの特徴的なCD帯として観測されることを明らかにした。更に、アニオン性ゲストの包接に伴って、側鎖末端から大環状骨格への不斉性の伝達が解消されることも明らかにした。一方、スペーサーのアルキル鎖長をより長くした参照化合物では、分子内水素結合の形成が困難であり、結果として不斉性の伝達は認められなかった。研究の当初においては、逆ベシクルの形成を目的としていたマクロ環型オクタ尿素に不斉性の伝達という新たな機能を賦与することに成功した。
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Research Products
(3 results)