2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15750125
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00322066)
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Keywords | 光磁性制御 / フォトクロミック材料 / 分子集合体 / アゾベンゼン / 磁性微粒子 / 強磁性体 / 光スイッチング |
Research Abstract |
近年、光によりその磁気特性を制御可能な磁性体の研究が盛んに行われ、フォトンモードによる磁気記録材料への応用が期待されている。このような光制御型磁性材料への新たな設計指針として分子集合体のフォトクロミック分子と無機磁性体による有機無機複合化材料をいくつか報告してきた。しかしながら、これまで報告したシステムは磁性体の微細化に伴う熱ゆらぎにより、極低温においてのみ強磁性を示す磁性材料であり、室温における磁気記録を実現するには強磁性領域を室温付近まで向上させることが大きな課題であった。そこで本研究では、大きな結晶磁気異方性と高い化学的安定性を有し、室温においても強磁性を示すFePtナノ粒子を磁性体として用い、この表面にアゾベンゼン誘導体の単分子膜を配位させることで、有機無機複合ナノ粒子を設計した。この複合ナノ粒子において、光照射によるアゾベンゼンの光異性化に伴い、磁化の可逆的な変化を観測し、室温において強磁性を有するナノ粒子の磁化を、光照射により可逆的に制御することに初めて成功した。この複合ナノ粒子の表面におけるアゾベンゼンの可逆的な光異性化が観測された。更に、このアゾベンゼンの光異性化に伴い、紫外光の照射による複合ナノ粒子の磁化の増大、可視光の照射による磁化の減少が観測され、室温において光照射による磁化の可逆的な制御に成功した。これは、アゾベンゼンの光異性化によるダイポールモーメントの変化によりFePtナノ粒子の表面の荷電状態の変化が誘起され、FePtナノ粒子の自由電子の遍歴に影響を与えたことによるものと考えられる。
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Research Products
(5 results)