2003 Fiscal Year Annual Research Report
無機・有機電荷移動量子細線結晶の光誘起変調ドーピング
Project/Area Number |
15750129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤沢 潤一 独立行政法人理化学研究所, 励起子工学研究チーム, フロンティア研究員 (20342842)
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Keywords | 光導電性現象 / 一次元結晶 / 電荷移動遷移 |
Research Abstract |
メチルビオロゲン沃化鉛は、沃化鉛一次元鎖とそれを取り囲むメチルビオロゲン分子からなる擬一次元結晶であり、最近我々は、一次元鎖から有機分子への電荷移動遷移が最低エネルギー光吸収帯であることを見出した。本研究課題の目的は、この細線-バリア間電荷移動遷移による無機量子細線の光誘起変調ドーピングについて研究を行うことである。 本年度前半において、GPIBとRS232Cインターフェイスを通したコンピュータ自動制御測定系を構築した。制御される装置は、キセノン光の単色化に用いるモノクロメータコントローラ、可変NDフィルタ用の自動ステージ、電磁シャッター、クライオスタット温度コントローラ、電圧源、パワーメータ、デジタルマルチメータ、およびオシロスコープである。この実験装置により、定常光励起およびナノ、ピコ、フェムト秒パルスレーザ励起下での光電気伝導度、励起光子エネルギー依存性、励起強度依存性、温度依存性、電圧依存性、および時間応答について自動で測定することが可能となった。 本年度後半では、定常光励起下での光電気伝導度の励起スペクトル測定および温度依存性について実験を行った。その結果、室温において可視域の光照射により光電気伝導度が大きく増加することを観測した。この光電気伝導度の増加は、細線-バリア間電荷移動遷移に起因している。温度依存性を調べた結果、この光電流は200K以下では、室温の20分の1以下に減少することがわかり、低温では光生成電荷キャリアがトラップされてしまうことが明らかになった。この室温動作光電流現象はデバイスへの応用として非常に興味深い。
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Research Products
(1 results)